April, 16, 2020, Hamburg--特殊な圧力窯を使い、国際研究チームはX線で半導体ガリウムナイトライド(GaN)成長の初期を分析した。その観察が初めて明らかにしたことは、緩やかな成長条件下の半導体材料と液体ガリウムの界面の原子構造である。研究成果は、ラトバウド大学(Radboud University of Nijmegen)、Elias Vliegチームが、Physical Review Lettersに報告した。その研究は、この有望な半導体材料の成長を理解し、その成長のコントロールを改善するための第一歩である。
この研究について論文を書いたAryan de Jongは、「GaNは金属ガリウムと窒素の混合物であり、現在、シリコンに次いで二番目に重要な半導体である」と説明している。同氏は現在、半導体産業でGaN応用に取り組んでいる。「これは、主に青色LEDsによるものである。青色LEDsはシリコンベースでは製造できないが、GaNで製造できる」。加えて、GaNは、他のデバイスでも興味深い。その大きなバンドギャップのために、より安定したデバイスが可能となるからである。また、衛星など苛酷環境で優位性がある。
とは言え、GaNからの適切な基板、つまりウエファの製造は、比較的複雑で高価である。「青色LEDsでは、通常材料はガス状態から凝縮される。これは非常に簡単であるが、欠陥の数が比較的多い。これはLEDsにはそれほど重要ではないが、マイクロチップなどのコンポーネントでは違う。したがってわれわれが探求しているものは、大幅に欠陥を少なくして液体からGaNを成長させる産業プロセスである」とDESY-NanolabのVedran Vonkは言う。
現在、これは数千気圧の圧力と1000℃を優に上回る高温を必要とする。これでは、GaNウエファが高価になり、普及が厳しく制限される。しかし、すべての液体製造プロセスの共通点は、液晶界面である。これはすでに、もっと緩やかな条件で検証可能になっている。
研究チームは、特注の圧力炉を使って、X線光を利用することでGaN結晶の界面成長を原子精度で検証した。この目的のためにチームは、炉にGaN結晶の薄いスライスを置き、液体ガリウムを満たした円筒容器を上に設置し、下を開け、サイドを閉じた。ガリウムは、30℃程度で溶ける。研究チームは、30倍の気圧まで炉を窒素で満たし、それを850℃まで加熱した。「これはまだ、大型GaAs結晶の製造条件に一致しないが、ここから結晶成長に関わる基本プロセスの一部に対する見通しが得られる」とVliegは説明している。
チームは、European Synchrotron Radiation Source ESRF(フランス)のX線を使って、高温圧力炉のGaNディスク表面を検証した。「実験によって明らかになったことは、結晶の最上層は予想以上に欠陥が多く、ガリウム原子の1/4程度が結晶格子で失われていることである」とVonkは報告している。「半導体結晶の上の液体ガリウムでは、層が形成され、液体のガリウム原子が、境界層に近くなるほど、結晶のガリウム原子にますます近くなっている。この順番と層形成は、以前にはこれほど詳細には観察されなかった」。
その2つの予期しない観察は、この有望な半導体材料の成長についての理解を高め、より簡素で制御しやすい製造プロセスの方法発見に役立つ。また、金属の液体と固体相の界面のプロセスの基本的な理解向上にも貢献する。
(詳細は、https://www.desy.de)