April, 16, 2020, 東京--東京大学(東大)大学院情報学環の中尾研究室、沖電気工業株式会社(OKI)、および三菱電機株式会社は、現在もっとも普及している光アクセスシステムであるPONの通信リソース(低遅延や大容量など通信における能力)を管理・制御する「PONリソース管理・割当制御技術」を開発し、光アクセスネットワークの仮想化制御試験に成功した。
これにより、デジタルシネマや自動運転など、通信要件の異なるさまざまなIoTサービスに最適な仮想ネットワークを効率よく柔軟に構築できることを実証し、通信事業者が、5G/IoT時代に必要な多種多様な通信サービスに応じた光アクセスネットワークをIoTサービス事業者に提供する目途をつけた。
開発した技術の内容
オーケストレータ技術(東大担当)
業界団体Open Networking Foundation(ONF)が開発しているCORDプロジェクトで開発したオープンソースのONOSプラットフォームで動作するPONドメインオーケストレータ(光アクセス網のみの制御)を開発し、多種多様な光アクセスサービスを従来よりも柔軟かつ効率的に収容する見通しを得た。
SDNコントローラー技術(三菱電機担当)
データの送受信に要する伝送遅延時間の要求度に応じて、事前に通信リソースを超低遅延向け・低遅延向け・遅延制限なし等の複数のクラスに分類し、そのクラスごとに通信速度や可用性(システムを停止することなく稼働し続ける能力)などを算出しておくことで、ネットワーク構築の要求を受けた際に最適な通信リソースを素早く割り当てることができるアルゴリズムを開発した。また、PONの親局(OLT)と複数の子局(ONU)を結ぶPONリンクごとに通信リソースの利用状況を管理し、利用可能な通信リソースに応じて、スライス(分割されたネットワーク)に利用すべきPONリンクを選択する方式を考案し、多数のスライスを効率よく収容できる通信リソースの管理・制御アルゴリズムを開発した。
PON仮想化技術(OKI担当)
波長と時間の帯域を割り当てるTWDM-PON(Time Wavelength Division Multiplexing PON)をベースに、要求に応じてPONのハードウエア機能の切出・合成を行うリソース割当技術、および切出・合成されたネットワーク(スライス)の独立性を確保する帯域割当技術(vOLT)を開発し、ONFが開発したVOLTHAアーキテクチャを考慮し、SDNコントローラーとのインタフェースをNETCONF(Network Configuration Protocol)で構成することで、PON仮想化を実現した。
(詳細は、https://www.oki.com)