April, 15, 2020, Sydney--マッコーリー大学(Macquarie University)の研究者は、大型望遠鏡がより多くの正確なデータを収集するために役立つ改良型レーザシステムを開発した。
大口径地上設置光学望遠鏡は、現在、一般にレーザビームが、大気の高層に生成する人工ガイドスターを使用している。これら人工スターによりユーザは、宇宙から来る光の大気中の収差を補正する。ガイドスターは、光フリースペース通信、地上と地球との通信の両方のアプリケーションで忠実度の高いデータ伝送、宇宙のデブリイメージングとトラッキングにとって、また天文学にとっても極めて重要である。
原理は、高精度チューニングされたレーザを使って、高度90km程度の中間層に自然に生ずるナトリウム層の原子を活性化することに関与する。これらの原子がレーザ光を再放出し、一時的に光る人工スターを作る。このために開発された多くの技術があるが、その特殊波長を生成することは非常に難しく、今までのところ、非実用的なアプローチが必要だった。
Macquarie大学、MQ Photonics Research Centreの研究チームは、ダイヤモンドラマンレーザが、必要とされている正確な出力を生成する非常に効率的な方法であることを示した。チームは、ガイドスターアプリケーション用に連続波589 nmダイヤモンドレーザを初めて実証した。Optics Lettersによると、そのレーザは、以前のその種のガイドスターレーザシステムよりも高出力、高効率である。
これらの特徴は、すでに他のアプローチに対抗できるものであるが、成果の実際的重要性は、その技術はさらなる開発により将来のガイドスターの品質を高められることである。ダイヤモンドは、急速に放熱でき、不要な光歪になりにくい。この組合せは、より強力なガイドスタービーム生成への道となる。研究者の予測では、一連のマイクロ秒光パルスとしてレーザを出力するなど、追加の柔軟性も適応光学系には利点になる。出力増強とともに、そのダイヤモンドナトリウムレーザコンセプトは、マイクロ秒パルス出力幅生成に有望である。同時に高いピークパワーと平均パワーを出力し、他の強化点とともに、適応光学系で点のような星の生成を可能にする。
「そのアプリケーションは、星の伸びや配景ノイズを低減した高輝度ガイドスターを必要としている。またこれらは、われわれのダイヤモンドレーザアプローチが対処できると考えられる側面である」とプロジェクトの首席実験者、Dr Xuezong Yangは言う。「われわれのアプローチは、極めて実用的でもある。ダイヤモンド素子固有の利得特性としてそのレーザは単一の狭い周波数で動作することがわかったからである。これによりわれわれの設計はシンプルになり、デバイスは潜在的にロバストでローコストになる」と同氏は話している。
ダイヤモンドレーザは、ラマンレーザに分類される。誘導放出ではなく誘導散乱で動作する。研究チームは、この主要な差異により、そのレーザはピュアなシングル周波数でより安定的に動作することを確認した。
研究チームによると、まもなく望遠鏡にダイヤモンドレーザが、より高いレベルで組み込まれる。「ダイヤモンドアプローチは、将来のガイドスターの輝度と品質を大幅に高める。ナトリウム層における光と原子の相互作用は、非常に複雑になることがあるが、これは地球と宇宙の適応光学系のパフォーマンスを高める興味深いチャンスになる」とこの研究のリーダー、Rich Mildren教授はコメントしている。
(詳細は、https://webresources.mq.edu.au)