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先端分光技術とビデオレートイメージングを統合

April, 7, 2020, Washington--UC3M研究チームは、デュアルコム分光法として知られる先進的分析技術を使い、極めて詳細なハイパースペクトル画像を初めて迅速に取得した。高感度高速にシーンの各ピクセルの完全スペクトル情報を取得することで、新アプローチは、化学分析やバイオメディカルセンシングなど、広範な化学的、産業的アプリケーションを大きく前進させる。

「デュアルコム分光法は、比類のないスペクトル分解能と精度、また可動部品なしで短い取得時間により光学的分光法を変革した。われわれの直接的ハイパースペクトルデュアルコムイメージングアプローチにより、現在のデュアルコムシステムのほとんどの点検出能力を拡張して全シーンのスペクトル画像を作ることができる」とマドリード・カルロス3世大学Universidad Carlos III de Madrid) (UC3M)、研究チームリーダー、Pedro Martín-Mateosは、説明している。

デュアルコム分光法は、光周波数コムとして知られている2つの光源を使う。Opticaに報告されたように、ビデオカメラを使ってデュアルコムスペクトルが直接検出されたのはこれが初めてである。

「以前のデモンストレーションよりも3桁以上高速、ちょうど1秒で2D物体のスペクトルインテロゲーションを実証した。この高速取得時間により、以前には可能でなかった、高速、つまり動的プロセスのデュアルコムハイパースペクトルイメージングが可能になる」とMartín-Mateosは話している。

研究は、近赤外波長を使って行われたが、研究者によると、そのコンセプトは、様々なスペクトル領域に簡単に移行でき、可能なアプリケーション数が広がる。

特に、そのアプローチをテラヘルツ(THz)やミリ波スペクトル領域に広げることで、食品、農業、製薬で製品の非破壊テストや検査に多くの新しい機会が開かれる。中赤外と近赤外領域では、それは化学イメージング、3Dマッピング、表面トポグラフィ技術の性能を強化できる。

ビデオレート検出
デュアルコム分光計は、2つのよく一致した光周波数コムからの光を干渉させることで機能する。この混合プロセスは、一般に数10MHzのレートでインターフェログラムとして知られる信号を生成する。最高速のビデオカメラでも速すぎて撮れない。

「われわれのシステムで生成されたインターフェログラムを1秒まで延ばして、ビデオカメラを使ってデュアルコム干渉信号を検出できるようにした。これにより、単なる点ではなく、全情景(シーン)のスペクトル分析が可能になる」とMartín-Mateosは説明している。

これをするために研究チームは、主に光ファイバコンポーネントで作られた非常に簡素な電気光学デュアルコム光源をベースにしたシステムを作製した。2つの音響光学変調器を利用することで、任意の低周波で光コムを相殺し、超低速インターフェログラムが実現する。

研究チームは、その新しい方法を使って、ボトルから逃げるアンモニアガスのハイパースペクトル画像を取得した。達成した光分解能は、ビデオレート25fpsで1GHz (0.0033 cm-1)、各フレームが327680個別スペクトル計測を含んでいる。研究チームによると、達成した分解能ににより、様々な気体の明確な区別が容易になり、現在の商用装置と比べて100倍優れている。

「これによりわれわれは、例えば様々な気体を容易に特定、区別することができる。この実証実験で示した分解能はの、現在の商用装置の分解能と比べて2桁優れている。
 簡素であることが、そのシステムの主要な強みの1つである。それは完璧に機能し、どんな光学研究室でも実行可能である」と同氏は話している。