April, 3, 2020, 東京--芝浦工業大学工学部応用化学科の大石知司教授は、フッ素樹脂上への簡便な銅微細配線形成技術を開発した。この技術は、撥水性で他材料との接合が難しいフッ素樹脂への銅微細配線形成を可能とするものである。大がかりな装置を使わずプロセスも簡便なため、配線形成を低コスト化。フッ素樹脂は5G時代の情報の大容量高速伝送に必要な処理性能向上の役割を期待されており、半導体基板などへの導入が可能となる。
フッ素樹脂の親水化にはプラズマ処理など大がかりな真空装置を必要とする。一方、今回は入手しやすいアンモニア水溶液の蒸気中にフッ素樹脂基板を設置してエキシマ光を照射することにより、フッ素樹脂基板表面の親水化に成功。この表面にはアミノ基が形成されており、水溶液中でこのアミノ基とCu2+イオンの間に配位結合を形成できること、無電解Cuめっきによりフッ素樹脂上にCu膜を形成できることを発見した。独自に開発した感光性有機無機ハイブリッド樹脂材料を成膜後、フォトリソ法を用いて100μm幅の銅微細配線を形成することにも成功。
この手法は通常の銅めっきに使用される貴金属Pd触媒を使用せず、すべて常圧下でのプロセスで配線形成ができるため、プロセスの簡略化と低コスト化にも寄与する技術。
今回の技術は、5G時代のスマートフォンなどの大容量高速伝送に寄与すると期待される、フッ素樹脂材料の応用展開に貢献する技術。配線幅の更なる微細化に向け、光照射プロセスの精密化を検討している。また、レーザ照射を用いたダイレクトパターニングの手法も開発しており、更なる簡便な銅配線形成技術の開発に向け検討を。
(詳細は、https://www.shibaura-it.ac.jp)