April, 2, 2020, Adelaide--アデレード大学の研究チームは、新しいタイプの可変(デフォーマブル)ミラーを開発した。これは、陸上設置の重力波検出器、Advanced Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory (LIGO)などの感度を高めることができる。
先進的LIGOは、ブラックホール、中性子星間の衝突など遠くの出来事が原因となる時空の微弱なリップルいわゆる重力波を計測する。
「今日の重力波検出器改善だけでなく、これら新しいミラーは、次世代ディテクタの感度向上にも有益であり新しい重力波源の検出にも役立つ」と同大学の研究チームリーダー、Huy Tuong Caoは説明している。
デフォーマブルミラーは、レーザ光の成形と制御に使われており、表面が微小なミラーでできている。その各々が、動き、作動し、ミラー全体の形状を変える。Applied Opticsで研究チームは、初めて、バイメタリック効果に基づいたデフォーマブルミラーを発表した。ここでは、機械的変位を達成のために温度変化を利用する。
「われわれの新しいミラーは、高い精度の大きな作動範囲を持つ。設計の容易性の意味は、それが複雑なあるいは高価な装置なしで、商用のオプティクスをデフォーマブルミラーに変えられるということである。これは、ビーム形状の正確な制御が重要などんなシステムでも利用できる」とCaoは説明している。
より優れたミラーの構築
地上設置重力波検出器は、干渉計の2つのアームの間を前後に移動するレーザ光を使い、各アーム先端のミラー間の距離をモニタする。重力波は、ミラー間の距離のわずかだが、検出可能な変化の原因となる。
この微小変化を検出するには、非常に正確なレーザビームステアリングと成形が必要になる。これは、デフォーマブルミラーで達成される。
「われわれは、重力波ディテクタの感度向上に必要な精度が、デフォーマブルミラー作製に利用される製造技術で達成できるレベルを超える点に到達している」(Cao)。
ほとんどのデフォーマブルミラーは、大きな作動量を誘発するために薄いミラーを利用するが、これら薄いミラーは、研磨が難しいので、望ましくない散乱を生み出す。研究チームは、新しいタイプのデフォーマブルミラーを設計した。これは、金属をガラスミラーに取り付けることでバイメタリック効果を利用する。2つが加熱処理されると、金属がガラス以上に膨張し、ミラーを曲げる。
その新デザインは、大きな量の精密作動を作り出すだけでなく、コンパクトであり、既存システムへの変更の必要性は最小である。デフォーマブルミラーを作るために利用される溶融シリカミラーとアルミニウムプレートは、市販入手可能。その2つの層を接着させるために研究チームは、作動を最大化する接着剤を慎重に選択した。
「重要なことは、その新しい設計が、レーザビームの透過する光学面が少ないことである。そのため、散乱、またはコーティングの吸収による光損失が低減する」(Cao)。
精度の特性評価
高精度ミラーの作製は、精密な特性評価技術を必要とする。研究チームは、高感度ハートマン波面センサを開発、作製して、ミラーの変化がレーザ光の形状をどのように変えたかを計測した。
「このセンサは、われわれの実験にとって極めて重要であり、干渉計の中核オプティクスの微小な変化を計測するために重力波検出器でも利用される。われわれのミラーの性能評価にそれを利用して、そのミラーが非常に安定しており、温度変化に対して極めて直線的に応答することを確認した」(Cao)。
テストで分かったことは、接着剤がミラーの作動範囲の主要な制限要因であること。研究チームは、現在、その接着剤による制限克服に取り組んでおり、ミラーをAdvanced LIGOに組み込む前に適合性評価テストをさらに実施する予定である。
(詳細は、https://www.adelaide.edu.au)