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EPFL、壁を透過するナノスケールデバイス

March, 31, 2020, Lausanne--EPFLの研究チームは、今日最高速のトランジスタよりも10倍以上高速動作するナノデバイスを開発した。これは、コンピュータ搭載のトランジスタよりも100倍程度高速である。この新しいデバイスにより、ハイパワーテラヘルツ波の時代が可能になる。
 THz波は、生成が非常に難しいが、イメージングやセンシングから高速ワイヤレス通信まで様々なアプリケーションで有用である。これらのデバイスのハイパワーピコ秒動作は、ガン治療など、先進的医療治療技術に極めて有望である。Natureに発表された研究チームの先駆的コンパクト光源は、未知の新しいアプリケーションに道を開く。

テラヘルツ波は、非常に有望であるが、生成するにはコストがかかり、扱いにくいので普及していない。しかしEPFLの研究チームが開発した新技術は、そのすべてを変える。Elison Matioli教授をリーダーとするPower and Wide-band-gap Electronics Research Laboratory (POWERlab)のチームは、わずか数ピコ秒で非常に高出力の信号を生成できるナノデバイスを構築した。これはハイパワーTHz波を生成する。

チップ、フレキシブル媒体に搭載できるその技術は、いずれ、スマートフォンや他のハンドヘルドデバイスにインストールできる。その研究は、筆頭著者、Samizadeh Nikoo、Ph.D学生がNatureに論文を発表した。

コンパクト、安価、完全電子ナノデバイスは、微小な光源から直ぐに高強度波を生成する。その動作は、ピコ秒の範囲で、電圧が10V(もしくはそれ以下) ~100Vに急上昇することで強力な「スパーク」を生成する。そのデバイスは、このスパークをほぼ連続的に生成できる、つまり毎秒5000万の信号を放出することができる。アンテナを接続すると、システムはハイパワーTHz波を生成、放射できる。

そのデバイスは、20nmまで離した、非常に近接設置された、2つの金属プレートで構成されている。電圧が印加されると、電子はプレートの一方に押し寄せ、そこでナノプラズマを形成する。電圧が一定の閾値に達すると、電子はすぐに第二プレートに放出される。そのような高速スイッチにより可能になるこの素早い動作が、高周波を生成する高強度パルスを生み出す。

従来の電子デバイスのスイッチング速度は、1V/ピコ秒であり、遅すぎてハイパワーTHz波を生成できない。

その新しいナノデバイスは、10倍以上高速にでき、高エネルギーと高周波パルスの両方を生成できる。「通常、両方の変数で高値を達成するのは不可能。高周波半導体デバイスは、ナノスケールサイズ。壊れる前に数ボルトに対処できるだけだ。一方、ハイパワーデバイスは、大きく、遅すぎて、THz波を発生できない。われわれのソリューションは、最先端のナノスケール製造技術で旧いプラズマ分野を見直し、それらの制約を回避する新しいデバイスを提案することだった」とMatioliは説明している。

同氏によると、その新しいデバイスは全ての変数を極値へと押し進める。「高周波、ハイパワーとナノスケールは、通常、同じセンテンスには登場しない用語である」。

「これらナノデバイスは、一方で、簡素の極致でありローコスト。他方、非常に優れたパフォーマンスを示す。加えて、トランジスタなど、他の電子デバイスとの集積も可能。このような特異的な性質を考えると、ナノプラズマは、超高速エレクトロニクスの分野で異なる未来を形作ることが可能だ」とSamizadehは話している。

その技術には、THz波生成を超えて幅広い範囲のアプリケーションがある。Matioliは、「今後、もっと画期的にアプリケーションが現れると確信している」と話している。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)