March, 31, 2020, Munich--ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(LMU)アト秒物理学研究所(LAP)とマックスプランク量子オプティクス研究所の物理学者が、光波の振動プロファイルを正確に決定することができる新しいタイプのディテクタを開発した。
光を取り扱うには、それを制御しなければならない。つまりその振る舞いを正確に知る必要がある。ある瞬間に、光波の頂点と谷の正確な位置を知ることさえ必要になる。LAPの研究者は、新開発のディテクタを使い、赤外光の単一超短パルス内で、そのようなピークの正確な位置を計測することができる。
波の数振動しか含まないが、そのようなパルスは、分子の振る舞いやその構成原子を研究するために使える。また、その新しいディテクタは、こうした観点から非常に価値のあるツールである。超短レーザパルスにより研究者は、分子において、さらなサブアトミックレベルで動的プロセスを調べることができる。これらのパルストレインを利用すると、まず標的粒子を励起し、次にその応答をリアルタイム撮像できる。しかし、強い光場では、パルスの正確な波形を知ることが特に重要になる。振動光場のピークとパルスエンベロープのピークは、異なるレーザパルス間で相互にシフトするので、各パルスの正確な波形を知ることが重要である。
LAPのチームは、光波の特性評価で明白なブレイクスルーを達成した。新しいディテクタによりチームは、「位相」を判定することができる。個々のパルス、全てのパルスで少ない振動サイクルのピークの正確な位置を繰り返しレート10000パルス/secで判断することができる。
そのためにグループは、光場の伝搬方向が時計の針のように回転する円偏光レーザパルスを生成し、周辺空気内で回転するパルスに焦点を合わせた。パルスと空気中の分子との相互作用は、短い電流バーストになり、その方向は光波のピーク位置に依存する。電流パルスの正確な方向を分析することで研究チームは、「キャリア-エンベロープオフセット」の位相を読み出すことができた。また、こうして光波の形を再構成することができた。位相判定に従来使われていた方法は、複雑な真空装置を必要とするが、それとは異なり、新しい技術は外気で機能し、計測に必要な特別なコンポーネントは、非常にわずかである。「セットアップの簡素化は、それがレーザ技術で標準ツールとなることを保証するようだ」とMatthias Klingは説明している。
「われわれの考えでは、この技術は、遥かに高い繰り返しレート、多様なスペクトル領域のレーザにも適用できる」とBoris berguesは言う。「われわれの技術は、ヨーロッパのExtreme Light Infrastructure (ELI)で生成されるような、高繰り返しレートの極短パルスレーザの関係で特に関心が高い」とMatthias Kling教授は付け加えている。超短パルスレーザの最新の光源に適用すると、この新しい波形解析法は、技術的ブレイクスルーに道を開く。また「最速レーン」の素粒子の振る舞いに新たな洞察が可能になる。
(詳細は、http://www.uni-muenchen.de)