March, 13, 2020, Leeds--リーズ大学などの研究者とエンジニアが、光粒子に欠陥を回避させる電気駆動「トポロジカル」レーザを初めて作製した。
電気駆動半導体レーザは、今日のレーザデバイスで最も一般的なタイプである。それらはバーコードリーダー、レーザプリンタなどの製品に使用されており、光通信にも、自動運転車用のLiDARにもアプリケーションが出てきている。
しかし、その製造は複雑な工程であり、現在のレーザ設計は、レーザ構造にどんな欠陥があっても、うまく機能しない。
Natureに報告されたブレイクスルーは、この長年の問題を克服し、既存の半導体技術を使って、より効率的で、無駄の少ない製造につながる見通しを示している。これはトポロジカル状態として知られる理論物理学からのコンセプトを利用することで達成された。目的は、「トポロジカルレーザ」の実現である。
1980年代、科学者は、ある材料を流れる電子が位相特性を持つことを発見した。つまり、散乱、リークなしで電子は窮地、つまり欠陥を回避できると言うことである。2016年ノーベル物理学賞は、そのような電子の位相状態研究先駆者である3名の理論物理学者が受賞した。
現在、リーズ大学と南洋理工大学(NTU)の学際的工学・物理学チームが、そのトポロジカルアプローチを光粒子、フォトンに適用した。
リーズ大学のGiles Davies FREng教授は、「トポロジカルレーザは、実用的なデバイスに適用される魅力的な基礎科学現象の好例である。われわれの研究が示すように、それにはレーザシステムの性能を改善する可能性があある」とコメントしている。
現在の研究では、チームは、電気駆動レーザ、量子カスケードレーザ(QCL)で研究した。これはリーズ大学で開発された先端半導体ウエファをベースにしている。
この研究の首席研究者、NTU電気・電子工学部、Qi Jie Wang教授は、「製造されたレーザデバイスのすべてのデバイスが、製造とパッケージング中に入り込む不完全性により、レーザ発振できない部分をもつことがある。
これが、通常の光波よりもはるかにロバストな、光の位相状態を研究するわれわれの動機の一つであった」と話している。
研究チームによると、新しいトポロジカルQCLの興味深い特徴は、放出する光が、電磁スペクトルのマイクロ波と赤外領域の間、テラヘルツ周波数であること。THz光は、センシング、照明、ワイヤレス通信における将来の技術的アプリケーションが浮上する主要領域の1つとされている。
(詳細は、https://www.leeds.ac.uk)