March, 13, 2020, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、光ファイバを伝搬する複数の空間モードを利用した、世界初の太平洋横断級長距離光伝送実験に成功した。
近年、次世代光通信システムを実現する基盤技術として、空間分割多重技術の研究開発が進められている。その有望な一形態であるモード多重光伝送技術では、光ファイバ内の複数の空間モードに信号を多重して送ることができるため多重度の分だけ伝送容量の向上が期待できる。その一方、長距離伝送時には距離に応じて増加する信号波形の歪みが顕在化し、モード多重光伝送の長距離化を実現する上でボトルネックとなっていた。
上記課題を解決しモード多重光信号の大幅な長距離伝送を可能にする伝送技術(巡回モード群置換)を新たに研究開発した。この技術の適用により、既存のファイバの伝送容量を最大6倍に拡大可能な大容量長距離光通信システムの実現可能性を示すとともに、多重度を柔軟に制御することで、9000kmを超える太平洋横断級の長距離伝送が可能であることを世界に先駆けて実証した。今後、この技術の応用検討を進めると同時に、関連技術分野と連携し、NTTが提唱するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を支える大容量光伝送基盤の実現に貢献していく。
今回の成果は、光通信技術に関する国際会議(OFC2020)において、伝送部門の平均スコアが最も高かったトップスコア論文として採択され3月12日(現地時間)に発表した。
(詳細は、https://www.ntt.co.jp)