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NTT、光ケーブル構造により光ファイバ内の伝送特性を制御

March, 12, 2020, 東京--日本電信電話株式会社(NTT)は、同一光ファイバ内で複数種類(マルチモード)の光を利用するモード多重伝送において、光ケーブルの構造を最適化することにより、光ファイバ内を伝搬する信号光間の伝送時間差を低減することに世界で初めて成功した。
 モード多重伝送ではモード数に応じた大容量化が期待できるが、各モードの伝送時間が異なるため、受信器の信号処理が複雑化する問題がある。今回、光ケーブルの設計パラメータ(光ファイバを束ねる強さや間隔など)を最適化することで、曲がりや捩れなど光ケーブル内の光ファイバの実装状態を意図的に制御し、マルチモード間の光信号の干渉による伝送時間のばらつきを最大60%低減できることを実証した。この成果により、モード多重伝送の基盤となる光伝送路技術の実現に向け、光ファイバと光ケーブルの同時最適により伝送特性を制御するという新たな指針を示すことができた。
 今後、光ファイバおよび光ケーブル技術の更なる最適化を図ると同時に、モード多重伝送に必要な接続・周辺技術の検討を進め、NTTが提唱するIOWN構想を支える大容量光伝送基盤の実現に貢献していく。
 今回の成果は、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催される光通信技術に関する国際会議(OFC2020)において、光ファイバケーブル部門で平均スコアが最も高かったトップスコア論文として採択され、現地時間の2020年3月9日に発表された。

(詳細は、https://www.ntt.co.jp)