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ハイブリッド顕微鏡、デジタル生検をクリニックに

March, 6, 2020, Urbana--イリノイ大学アーバナキャンパスの研究者によると、どこにでもある標準的な光学顕微鏡に赤外能力を加えることで、ガン診断はデジタル時代になる。

赤外計測と高分解能光画像およびマシンラーニングアルゴリズムを組み合わせて、研究チームは、従来の病理学技術と密接に相関がとれ、最先端の赤外顕微鏡を著しく上回るるデジタル生検を実現させた。

同大学ガンセンタディレクタ、バイオエンジニアリング教授、Rohit Bhargavaをリーダーとするグループは、National Academy of Sciencesに研究成果を発表した。

「利点は、染色が不要であり、細胞の組織とその化学的性質の両方が計測できる点にある。腫瘍細胞の化学的性質とその微小環境の計測は、ガン診断の改善、病気の理解向上につながる」とBhargavaはコメントしている。

組織病理学の至適基準は、病理学者が顕微鏡下の細胞の形状やパタンを見ることができるようにするために、染料または染色剤を加えることである。しかし、ガン組織と健康な組織とを区別し、腫瘍の境界を正確に示すことが困難になり、多くの場合、診断が主観的になる。

「1世紀以上、腫瘍診断のために人の組織生検への染料付加に依存してきた。しかし、染料によって引き起こされる形や色からは、ガンを促進する基本的な分子の変化について非常に限られた情報しか得られない」とBhargavaは言う。

赤外顕微鏡のような技術では、組織の分子成分を計測でき、これにより細胞タイプを区別できる定量的な計測ができる。残念ながら、赤外顕微鏡は高価であり、サンプルは特別な準備と取り扱いを必要とするので、大半の臨床および研究設定には実用的ではない。

赤外レーザと特殊な顕微鏡レンズ、干渉対物レンズを光学カメラに付加することでBhargavaのグループは、ハイブリッド顕微鏡を開発した。赤外-光ハイブリッドは、クリニックや研究室では、どこにでもあるような光学顕微鏡で赤外データと高解像度光画像の両方を計測する。

「われわれは、市販のコンポーネントでハイブリッド顕微鏡を作製した。これは重要である。他の人々が簡単に独自の顕微鏡を作り、既存の顕微鏡をアップグレードできるからである」と論文の筆頭著者、Martin Schnellはコメントしている。

研究者によると、二つの技術の統合により、両方の力を利用することになる。高解像度、広い視野、光学顕微鏡の入手しやすさである。さらに、赤外データはコンピュータ解析できるので、組織に損傷を与える染料を加える必要がない。ソフトウエアが様々な染料を再現し、それらを重ねて、組織内にあるものの、より完璧なオールデジタル画像さえ作れる。

研究チームは、乳ガン組織、健全なサンプルとガンに罹ったサンプルをイメージングすることでその顕微鏡を検証した。ハイブリッド顕微鏡の計算された「染料」の結果と、従来の染色技術による結果とを比較した。デジタル生検は、従来法と密接に相関していた。

さらに、研究者は、その赤外-光学ハイブリッドが、いくつかの点で最先端の赤外顕微鏡を凌駕することを確認した。範囲が10倍大きい、一貫性が優れており、4倍高分解能、より大きなサンプルを赤外イメージングし、より少ない時間で、前例のない詳細さなど。

「赤外-光ハイブリッド顕微鏡は、バイオメディカルアプリケーションでは従来の顕微鏡に幅広く適合可能である。われわれは、光学顕微鏡の使いやすさと汎用性と、赤外分子コントラストの広いパレット、マシンラーニングを統合している。そうすることで、微視的組織構造の規定的な取扱、イメージング、理解の仕方を変えたい」とSchnellは話している。

研究チームは、ハイブリッド画像の分析に使用されるコンピュータツールの継続的な改良を計画している。マシンラーニングプログラムの最適化に取り組んでいる。これにより多くの赤外波長を計測し、多数の細胞タイプを直ぐに区別できる画像を作成し、そのデータを詳細な光学画像と統合して、サンプル内に正確なガンのマップを形成できる。チームは、ハイブリッド顕微鏡イメージングのアプリケーション拡大も検討している、例えば科学捜査、高分子科学、他のバイオメディカルアプリケーションである。