May, 21, 2014, West Lafayette--パデュー大学の研究チームは、「ハイパーボリック・メタマテリアル」を一歩実用に近づけた。ハイパーボリック・メタマテリアルは、超薄型結晶膜で、強力な顕微鏡、量子コンピュータ、ハイパフォーマンス太陽電池を含む光学的進歩を促進させる、と研究チームは説明している。
光学メタマテリアルは、表面プラズモンと呼ばれる電子の大群を利用して光を操作、制御する。しかし、開発中のプラズモンコンポーネントの中には金や銀などの金属の利用に依存するものがある。これらは、IC作製で使われるCMOSプロセスに適合的ではなく、効率的に光を伝えることもない。
研究チームは、窒化チタン、アルミ・スキャンジウム・窒素、誘電体、または絶縁体の層から「超格子」結晶を造る方法を開発した。超格子は、実用的なアプリケーションに必要な新しい層を加えながら連続的に成長させることができる結晶。
研究チームは、エピタキシで超格子を作製した。論文の共著者、Bivas Saha氏によると、これは金属-誘電体エピタキシャル超格子の初めての報告の1つ。
メタマテリアルの可能なアプリケーションリストには、「平面ハイパーレンズ」がある。これは、光学顕微鏡を10倍強力にし、DNAのような小さなものを見ることができる。リストには他にも、先進的なセンサ、高効率の太陽熱収集器、量子コンピューティングが含まれている。
パデュー大学電子・コンピュータ光学准教授、Alexandra Boltasseva氏は、「プラズモニックおよびメタマテリアルデバイスは、現実のアプリケーションで役立つためには、プラズモンと誘電体の両方で優れた材料構成要素を必要とする。われわれは、超薄、超平坦な層にエピタキシャル成長できるプラズモン材料と誘電体材料を開発した。界面は非常にシャープである」と説明している。
ハイパーボリック・メタマテリアルは、光が1つの方向から透過するときには金属のように振る舞い、垂直方向から来ると誘電体のように振る舞う。この「極度の異方性」が光の「ハイパーボリック分散」となり、デバイスから、他の方法では不可能なほど多くのフォトンを抽出する能力となり、結果的にパフォーマンスが向上する。
この研究で使用された窒化チタン、アルミ・スキャンジウム・窒素の層は、それぞれ厚さ5~20nm。しかし、研究者たちは層厚が2nm程度、8原子程度の超格子も開発可能であると言う。
今回の開発成果は、結晶構造に適合する金属と誘電体を選んだことによって可能になったと研究チームは説明している。これによって超格子として層を成長させることができた。研究チームは、窒化アルミニウムと窒化スカンジウムの合金を造った、つまり窒化アルミニウムがスカンジウム原子で満たされ材料の結晶格子を変えて窒化チタンと整合するようになった。
「金属と誘電体材料構成要素をまとめてエピタキシャルシステムで成長できることは、ハイパフォーマンスメタマテリアルの実現に不可欠である」とSaha氏は言う。
(詳細は、www.purdue.edu)