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生きた組織を内包できる物体を3Dプリント

February, 14, 2020, Cambridge--生きたバクテリアの挙動を制御する3Dプリンティングシステムは、いずれ、治療薬を組み込んだ医療デバイスを可能にする。

予測できる方法で生きた有機体を制御できる三次元(3D)物体をプリントする方法をMITなどの学際的研究チームが開発した。その技術は、カスタマイズされた装具などのバイオメディカルツールの3Dプリンティングにつながる。これには、鎮痛剤、局所治療など治療化合物を造り出す精細胞を内包している、と研究者は説明している。

研究成果は、Advanced Functional Materialsに発表された。

MITの院生、Rachel Soo Hoo Smithは、「われわれは、それらを生きたハイブリッド材料(HLMs)と呼んでいる」と言う。最初の概念実証実験には、チームは、様々な化学物質を、3Dプリンティングプロセスに正確に組み込んだ。これらの化学物質は、信号として働き、生物学的に改良した微生物で一定の反応を活性化させる。マイクローブは、プリントされた物体にスプレイコートされている。一度加えると、その微生物は、その科学信号に反応して特殊な色、蛍光を表示する。

研究では、チームは、様々なプリント物体におけるこれらの色模様の外観を説明している、チームによると、これは生きた細胞を3Dプリントした材料の表面への組込成功を証明している。また、選択的に組み込んだ化学物質に反応して細胞が活性化することを示している。

目的は、生きた生物学的要素を組み込んだ物体やデバイスのためにしっかりしたデザインツールを造ることである。他の製造プロセスと同様に予測可能であり、拡張性がある方法で造られている。

チームは、その生きたハイブリッド物質の製造に多段工程を利用している。まず、商用入手可能な多材料インクジェットベース3Dプリンタ、および、プリンティングに使用されるレジンと化学信号との組合せのカスタイズレシピを使う。例えば、あるタイプのレジンは、通常、プリントされた構造のオーバーハング部分の一時的サポートを造るために使うだけであり、プリント後は分解し、構造的レジン材料と混合されることで、役に立つ結果を生み出す。このサポート材料を内包するその構造のパーツは吸収性があり、有機体の振る舞いを制御する化学信号を保持することができる。

最後に、生きた層が加えられる。ヒドロゲルの表面コーティング、ゲル状物質、ほとんど水で構成されているが、安定した耐久性のある格子構造を提供する。これは、生物学的に改良されたバクテリアおよびその物体にスプレイコートで注入される。

「われわれは、プリントされた形状内に、色であろうと治療薬であろうと、非常に特殊な形状とハイブリッド生きた物質の分布、生物学的に合成された成果を定義できる」とSithは言う。これら初期テスト形状の一部は、1ドル硬貨ディスクとして作られた、また他はカラフルなマスク形状、色はその構造内の生きたバクテリアによって与えられる。バクテリアが成長するので、その色は、表面化するまでに数時間を要する。また次に、色が顕れると、安定状態にとどまる。

「このアプローチには素晴らしい実用的なアプリケーションがある。設計者が、コンピュータアルゴリズムで生きた組織の成長を制御しパタン化できるからである。コンピュータデザイン、積層造形および合成生物学を組み合わせることで、HLMプラットフォームは、これらの技術がもつ、外見的には異なる分野に広範囲に及ぶインパクトを指し示すデザインとその物体空間を「活気づけ」る。

チームが使ったプリンティングプラットフォームにより、プリントされた物体の材料特性が、構造の異なる部分間で正確に、連続的に変更を加えることで可能になる。ある部分は硬く、他の部分は、より柔軟に、またある部分は吸収性があり、他は撥液である。そのようなバリエーションは、力や支持を提供でき、また身体と接触するところでは心地よさを提供する柔らかで曲げやすい、バイオメディカルデバイスの設計では役に立つ。

チームは、生物学、バイオエンジニアリング、コンピュータサイエンスのスペシャリストを含む。材料を通した化学物質の拡散などの要素の効果もあるが、チームは、プリントされた物体で、生物学的な振る舞いの予測可能なパタニングを生み出すシステムを考えついた。これらの効果のコンピュータモデリングにより、チームは、従来の3Dプリンティングシステムで使われているCADシステムに匹敵する精密度を提供するソフトウエアを作成した。

マルチレジン3Dプリンティングプラットフォームは、様々な特性をもつ3~7の異なるレジンを任意の比率で混ぜて、どこにでも使える。合成生物学エンジニアリングと組み合わせると、光、温度、化学信号などの特定の刺激に特定の仕方で反応するようにプログラムされた生体表面を持つ物体を設計できる。それは、再現性があるが、完全にカスタマイズ可能であり、オンデマンドで製造できる、と研究者は話している。

「将来的に、そのマスクに含まれる顔料を人に役立つ化学物質、ビタミン、抗体、あるいは抗菌薬と置き換えることも可能である」とOxmanは話している。
(詳細は、http://news.mit.edu)