January, 30, 2020, Washington--人工知能(CNN)を使って網膜画像を分析する新しいアプローチが、医者が糖尿病性黄斑浮腫の患者に最良の処置を選択するのに、いずれ役立つ日が来る。この糖尿病合併症は、生産年齢成人の間で失明の主要な原因である。
抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬は、糖尿病性黄斑浮腫の最も重要な治療として広く利用されているが、それはすべての人に効くわけではない。それは、患者と医者の両方にコストがかかり重荷となる注射を何度も必要とするので、その治療から恩恵を受ける人を特定する必要がある。
研究チームのリーダー、デューク大学のSina Farsiuは、「われわれは、網膜のOCT画像を自動的に分析するために使えるアルゴリズムを開発した。これにより患者が抗VEGF処置に反応しそうかどうかを予測することができる。この研究は、精密医療への一歩前進である。精密医療では、そのような予測が、特異性疾患の患者にとって、臨床医が最良の治療を選択するのに役立つ」と説明している。
Biomedical Optics Expressに発表された論文では、研究チームは、その新しいアルゴリズムが、わずか一回の処置前ボルメトリックスキャンを分析して、患者が抗VEGF治療に反応しそうかどうかを正確に予測できることを示している。
「われわれのアプローチは、眼科で不要な、コストのかかる試行錯誤を防ぐために使える可能性がある。これにより、患者にとっては処置負荷を大幅に軽減できる。そのアルゴリズムは、多くの他の眼病、新生血管の加齢性黄斑変性症を含め、眼病の治療反応予測にも適用可能である」とFarsiuはコメントしている。
処置反応を予測
研究チームが開発したアルゴリズムは、新しい畳み込みニューラルネットワーク(CNN)アーキテクチャに基づいている。これは新しいタイプの人工知能で、重要度を様々な側面あるい対象に割り当てることで、画像を分析できる。そのアルゴリズムを使い、OCTで取得した画像を調べた。OCTは、高分解能横断的網膜画像を生成する非侵襲的技術であり、多くの眼病の評価と処置の標準的ケアである。
「以前に開発したアプローチと違い、われわれのアルゴリズムは、わずか1回の前処置時点のOCT画像を必要とするだけである」と論文の筆頭著者、Farsiu研究室のポスドク研究者、Reza Rastiは説明している。「治療反応予測に、時系列のOCT画像、患者の記録、他のメタデータは不要である」。
その新しいアルゴリズムは、OCT画像にグローバル構造を保存し、際立たせる。他方で、病気の領域からの局所的特徴を強化し、効率的に網膜厚情報を利用する。処置決定に役立てるために研究チームは、CNNにエンコードされた特徴を探す付加的ステップ組み込んだ、これは抗VEGF反応と強い相関性をもつ特徴である。
アルゴリズムのテスト
研究チームは、127名の患者からのOCT画像で新しいアルゴリズムをテストした。これらの患者は、糖尿病性黄斑浮腫の処置で抗VEGF薬剤を3回連続注入されていた。研究チームは、そのアルゴリズムを適用し、抗VEGF注射前に撮ったOCT画像を分析、次に抗VEGF治療後に撮ったOCT画像とそのアルゴリズムの予測を比較し、治療が症状を改善しているかどうかを確認した。
結果に基づいてチームは、そのアルゴリズムが、誰が治療に反応するかを正確に予測する可能性は87%であると計算した。それは,平均精度と特異度85%、感度80%を示していた。
次に研究チームは、まだ処置を受けていない患者の大規模な観察トライアルを行うことで、このパイロット研究からの成果を確認、拡張する計画である。