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複数のプローブを同時に画像化する「MI-IP」を開発

January, 21, 2020, 和光--理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター健康・病態科学研究チームの福地知則研究員、渡辺恭良チームリーダー、名古屋大学大学院医学系研究科の山本誠一教授らの共同研究グループは、これまで単一のプローブしか解析できなかったベータ線イメージング装置にガンマ線を捉える検出器を組み込むことで、複数のプローブを同時に解析できる新装置「MI-IP(Multi-Isotope Imaging Plate)」を開発した。

研究成果は、高感度で定量性に優れたベータ線イメージングの応用範囲を広げ、創薬を含むライフサイエンスや植物生理学、工学等の分野で複数のプローブを解析できることにより、研究をより高度にすると期待できる。

少量の放射性プローブを画像化できるベータ線イメージングは、PETによる全身撮像後の組織切片観察や、植物内の低分子やミネラルの動態解析など、他の手法ではアプローチが難しい研究に力を発揮する。プローブとして用いるベータ線放出核種にはさまざまな種類の元素があり、人工的な原子核変換により作られる核種も含めるとほぼ全ての元素がプローブとして利用可能だが、これまでの装置は複数のプローブを同時に画像化することはできなかった。

共同研究グループは、ベータ線を放出する核種のうちの多くが、ベータ崩壊に伴いエネルギー値が核種に固有であるガンマ線も放出することに着目し、ベータ線とガンマ線を同時計測することで、複数のプローブを区別して同時に画像化する装置の開発に成功した。

研究成果は、『Medical Physics』に掲載されるのに先立ち、オンライン版に掲載された。

(詳細は、https://www.riken.jp)