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体内深部で光ベースのガン治療が可能に

May, 19, 2014, Buffalo--光線力学治療(PDT)は、口腔ガンや皮膚ガンなど簡単にアクセスできる腫瘍には効果的な治療であるが、光感作性薬剤をレーザを使って活性化するので、体内深部のガンには適していない。しかし、新技術によってこれが変わりつつある。新技術は、これまでアクセスできなかった体内にPDTを持ち込むことができる。
 新技術は近赤外光を使い、体内深部に達すると可視光に変換して薬剤を活性化し、腫瘍を破壊する。
 医者は何十年も前からPDTを使ってガン治療を行ってきた。血流によって、あるいは局所的に腫瘍に供給される薬剤を癌細胞は吸収する。次に可視光をその箇所に照射し、これによって薬剤が酸素で活性化し、腫瘍を殺す遊離基を生成する。
 残念ながら可視光は組織の深部にとどかない。逆に近赤外光は組織に深く浸透するが、薬剤を効率的に活性化することはない。
 この問題を解決するために、近赤外を吸収する薬剤を開発している研究者もいる。しかしこの方法には限界がある。安定的、効果的な近赤外吸収感光薬剤の合成は極めて難しいからだ。
 バッファロー大学(UB)の研究チームは、アプローチを変え、腫瘍の自然的環境を利用して光を必要な波長に調整するようにした。
 例えば、近赤外レーザビームは、結合組織に存在する自然のタンパク質コラーゲンと相互作用する。相互作用により近赤外光は可視光に変換される。これは第二高調波発生(SHG)と呼ばれるプロセス。同様にして細胞内の自然のタンパク質と脂質は近赤外と相互作用し、FWMという別のプロセスで近赤外光を可視光に変換する。
 このようにして体内の深部で可視光が生成でき、それを薬剤が吸収することができる。これは薬剤を活性化し、腫瘍を破壊する。
 この治療法の利点について、この研究のリーダー、Paras Prasad教授は、「PDTには長期的副作用はない、手術に比べると侵襲性は低い、しかも癌細胞を非常に正確に標的とすることができる。われわれのアプローチによりPDTは、ガンを患う数100万の人々の苦痛を和らげる新たなツールになる」と語っている。
 UBは、このチームの発見を保護するために特許申請を行った。