September, 9, 2019, Washington--パターン認識、リスク管理、その他の同様に複雑なタスクでは、最も強力なコンピュータさえ、まだ人の脳にはかなわない。とはいえ、光ニューラルネットワークの最近の進歩は、人の脳でニューロンが反応する方法を模擬することで、そのギャプを埋めつつある。
大規模な光ニューラルネットワークの実用化を進める重要なステップでは、研究チームは、その種のものでは初めての多層オールオプティカル人工ニューラルネットワークを実証した。一般に、この種の人工知能は、従来の計算アプローチではできない複雑な問題に取り組むことができるが、現在の設計は、時間がかかり、エネルギー集約的で膨大ななコンピュータリソースを必要とする。このため、実用的な光人工ニューラルネットワークの開発に大きな関心が集まっている。このようなネットワークは、従来のコンピュータをベースにしたものよりも高速で、省エネである。
Oticaに発表された論文で、香港科学技術大学(HKUST)の研究チームは、2層オールオプティカルニューラルネットワークを詳細に紹介し、それを複雑な分類作業に適用することに成功したと報告している。
「われわれのオールオプティカルスキームは、光の速度で光並列計算を行うニューラルネットワークを可能にし、省エネである。大規模なオールオプティカルニューラルネットワークなら、画像認識から科学的研究までのアプリケーションに利用できる」と研究チームのJunwei Liuは話している。
オールオプティカルネットワークの構築
従来のハイブリッドオプティカルニューラルネットワークでは、光コンポーネントは、一般に線形動作に使われ、非線形活性化機能は、通常電子的に実装された。非線形オプティクスは、一般にハイパワーレーザを必要とし、光ニューラルネットワークに実装することが難しいからである。非線形活性化機能とは、人の脳のニューロンが反応する方法をシミュレートする機能である。
この課題を克服するために、研究チームは、非線形機能のために電磁誘導透過を持つ冷却原子を利用した。「この光誘導効果は、非常に弱いレーザパワーで達成可能である。この効果は、非線形量子干渉に基づいているので、われわれのシステムを,古典的方法では扱いにくい問題を解く量子ニューラルネットワークに拡張することができる」と研究チームのShengwang Duは説明している。
その新しいアプローチの能力と実行可能性を確認するために研究チームは、16の入力と2つの出力を持つ、2レイヤーの完全接続オールオプティカルニューラルネットワークを構築した。チームは、そのオールオプティカルネットワークを利用して、アイシング(Ising)モデル、磁気の統計的モデルの秩序と無秩序相を分類した。結果は、そのオールオプティカルネットワークが、よく訓練されたコンピュータベースのニューラルネットワークと同様に正確であることを示した。
大規模オプティカルニューラルネットワーク
研究チームは、そのオールオプティカルアプローチを大規模なオールオプティカルネットワークに拡張する計画である。その大規模なニューラルネットワークは、画像認識など特殊な実用的アプリケーション向けに設計された複雑なアーキテクチュアを持つ。これは、そのスキームが大規模で機能することの証明に役立つ。
「わけわれの研究は概念実証デモであるが、将来的には人工知能の光バージョンの開発が可能になる。次の世代の人工知能ハードウエアは、今日のコンピュータベースの人工知能と比べて、直感的に、はるかに高速であり、省エネである」と研究チームはコメントしている。