Science/Research 詳細

UCLA、光速で対象を特定するAIデバイスを開発

August, 23, 2019, Los Angels--UCLA電気・コンピュータ工学チームは、人の脳の働き方をモデルにしたデバイス、物理的人工知能ネットワークを作製した。これは、大量のデータを分析し、実際、光の速度で対象を同定することができる。デバイスは、3Dプリンタを使って、UCLA Samueli School of Engineering.で作製した。
 今日、多くの日常的なデバイスはコンピュータ化されたカメラを使って対象を同定する。しかし、そのようなシステムは、対象をイメージングす装置に依存している。まず、カメラか光センサで対象を見て、次に見たものをデータ処理する、最後にコンピュータプログラムを使って、それが何であるかを見つけ出す。
 UCLAが開発したデバイスは、ヘッドスタートする。「回折ディープニューラルネットワーク」と言い、それは対象そのものから跳ね返る光を使って、その対象を同定する、コンピュータがその対象を「見る」ために必要とする短い時間である。UCLAデバイスは、対象画像を処理せず、光センサがそれを捉えた後に対象がなんであるかを判断するために、先進的コンピューティングプログラムを必要としない。また、それは光の回折しか利用しないので、デバイスを走らせるためのエネルギー消費がない。
 そのデバイスに基づいた新技術は、対象の分類や同定に関わる、データ集約的なタスクを高速化するために使える。例えば、その技術を使う無人走行車は、瞬時にストップサインに反応する。現在の技術を利用するよりも高速である。UCLAシステムをベースにしたデバイスでは、自動車は、標識からの光が当たるとすぐに標識を「読み取る」。自動車のカメラが対象を撮像し、次にそのコンピュータを使って対象が何であるかを判断するのとは対照的である。
 その発明に基づいた技術は、顕微鏡イメージングや医療で、例えば、数百万の細胞を分類して病気の兆候を見つけるためにも使える。
 その研究の主任研究者、Aydogan Ozcanは、「この研究は、人工知能ベースのパッシブデバイスを使い、瞬時にデータ、画像を分析し、対象を分類する、根本的に新しい機会を開くものである」とコメントしている。「この光学人工ニューラルネットワークデバイスは脳の情報処理方法に基づいて直感的にモデル化されている。拡張して、新しいカメラ設計、他に存在しない光コンポーネントを可能にする。医療技術、ロボット工学、セキュリティ、あるいは画像やビデオデータが本質であるようなアプリケーションなら何でもパッシブに機能する」と説明している。
 人工ニューラルネットワークを生み出すプロセスは、コンピュータシミュレーションした設計で始まった。次に研究チームは3Dプリンタを利用して、非常に薄い、8センチメートル平方のポリマウエファを作製した。各ウエファは、凹凸面を持ち、これが対象物からの様々な方向からの入力光の回折に役立つ。層は、目には不透明に見えるが、実験で使われたサブミリメートル波長テラヘルツ周波数の光は、それを透過できる。また各層は、数万の人工ニューロンで構成されている。この場合、光が透過する微小ピクセルである。
 全体として、一連のピクセル化した層は、「光ネットワーク」として機能する。そのネットワークは、対象からの入力光がどのように透過するかを成形する。ネットワークは、対象を同定する。対象からの入力光が主に、その種の対象に割り当てられた単一ピクセルの方へ回折されるからである。
 次に、研究チームは、コンピュータを使ってそのネットワークを訓練した。その対象からの光がデバイスを透過する際に、個々の対象が生み出す回折光のパタンを学習することで、その直前の対象を判断するためである。その「トレーニング」は、ディープラーニングを利用した。ここでは、パタンが現れるたびに徐々に、反復的にマシーンは「学習」する。
 Ozcanによると、これは直感的には非常に複雑なガラスとミラーの迷路のようなものである。「光は回折ネットワークに入り、迷路を跳ね回って、最終的に外に出る。ほとんどの光が最後に外に出たところから、システムは、その対象が何であるかを判断する」と説明している。
 実験では、研究チームは、そのデバイスが手書きの数字と衣類の種類を正確に判断できることを実証した。その両方とも、人工知能学習でのテストで一般に使用される。それをするために、研究チームは、テラヘルツ光源の前に画像を設置し、そのデバイスに光学回折を通してその画像を「見」させた。
 研究チームは、そのデバイスがレンズとしても機能するように訓練した。レンズは、光ネットワークの前に置かれた対象の画像をその反対側に投影する。一般的なカメラレンズの機能と全く同じであるが、物理学の代わりに人工知能を使っている。
 そのコンポーネントは3Dプリンタで作製されたので、人工ニューラルネットワークは、もっと大きな追加層を作ることができ、数億の人工ニューロンを持つデバイスが実現できる。その大きなデバイスは、より多くの対象を同時に判断でき、より複雑なデータ解析を行える。また、コンポーネントは、安価に作製可能なので、UCLAチームが生み出したデバイスは、50ドル以下で再生産できる。
 研究は、テラヘルツ周波数の光を使ったが、Ozcanによると、可視光、赤外光、他の周波数の光を使うニューラルネットワークも可能である。ネットワークは、リソグラフィあるいは他のプリンティング技術を使っても造れる。