July, 25, 2019, Pittsburgh--ピッツバーグ大学スワンソン工学部の研究チームは、ナノ構造ガラスを開発した。これは、グラスウイングバタフライの翅からヒントを得た新しいガラスとなり、広い波長と角度域にわたって極めて透明であるばかりか、防曇でもある。
研究成果は、Materials Horizonsに発表された。
そのナノ構造ガラスは、グラスウイングバタフライのようなランダムなナノ構造を持ち、構造は可視光波長よりも小さい。これによりガラスは、そのランダムなの構造がガラスの両面にあると、99.5%の非常に高い透明性を持つことになる。この高い透明性は、ディスプレイに対する輝度やパワー要求を低減できるので、例えばバッテリ寿命が長くなる。ガラスはより高角度で反射防止であり、視野角が改善される。また低ヘイズ、0.1%以下であるので、画像やテクストが非常に鮮明になる。
「そのガラスはスーパーオムニフォビック、つまりオレンジジュース、コーヒー、水、血液や牛乳など、様々な液体をはじく」と論文の筆頭著者、Sajad Haghanifarは説明している。「そのガラスは、防曇でもあるので、水分凝縮は簡単に表面から転げ落ちる傾向がある。また、そのガラスを通した視界は、何ものにも遮られない。最後に、そのナノ構造ガラスは、自己回復特性のために、摩擦耐性が高い。ザラザラしたスポンジでその表面を摩擦するとコーティングを損傷するが、加熱するとそれは元の機能を回復する」。
蓮の葉、蛾の目、蝶の翅のような自然の表面は、オムニフォビック特性を示す。つまり自己洗浄、耐菌性、撥水性であり、これは数100万年にわたって進化した生存適用である。研究者は、こうした特性を合成材料で再現し、さらにそれらを改善するために自然からのインスピレーションを長年探求していた。研究チームは、こうした成果達成に進化に依存するのではなく、代わりにマシンラーニングを利用した。
「ナノ構造カラス研究で、特に意味のあることは、われわれがSigOptと提携して、最終製品実現のためにマシンラーニングを利用したことである」と産業エンジニアリング准教授Paul Leu、 PhDは話している。「このようなものを作るとき、多くのデータから出発することはなく、個々のトライアルは膨大な時間がかかる。われわれはマシンラーニングを利用して、変化する変数を提案した。その結果、この材料を作るための試行を少なくすることができた」。
「ベイジアン最適化とアクティブラーニングは、透明性とオムニフォビシティの効率的バランスを探求する理想的なツールである。つまり数千の製造、数百の日数が不要になる」とSigOptのリサーチエンジニア、Michael McCourt, PhDはコメントしている。さらにフェローリサーチエンジニア、Bolong Chengは、「実際の問題を解決するとき、マシンラーニングとAI戦略だけが適切である」と付け加えている。
(詳細は、https://www.engineering.pitt.edu)