July, 5, 2019, Chalmers--チャルマーズの研究チームは、ナノレベルで光を捕らえ、増幅し、物質に結びつける全く新しい方法を発見した。原子厚の物質をスタックして造られた微小ボックスを使い、一種のフィードバックループの構築に成功した。ここでは光と物質が一つになる。Nature Nanotechnologyに発表されたこの発見は、ナノフォトニクス世界に新たな可能性を開く。
フォトニクスは、光を使う様々な手段に関わる。光ファイバ通信は、フォトニクスの一例である。フォトディテクタやソーラセルの背後にある技術と同様である。光コンポーネントがナノメートルレベルに小さいと、これをナノフォトニクスと呼ぶ。この小さなフォーマットで可能になる境界を押し広げるために、基礎研究の進歩が重要になる。チャルマーズ研究チームの画期的な「ライトボックス」は、光と物質の交代を非常に高速に起こすので、もはや2つの状態を区別することができない。光と物質は一つになる。
「われわれは、等分の光と物質で構成されるハイブリッドを作った。そのコンセプトは、基礎研究と応用ナノフォトニクスの両方で全く新しい領域を開く。これには、非常に多くの科学的関心がある」とチャルマーズ物理学部研究者、論文の著者の一人である、Ruggero Verreは説明している。
その発見は、研究チームが2つの異なるコンセプトを画期的な方法で結合した時に起こった。Mikael Källの研究チームは、ナノアンテナに取り組んでいる。これは、最も効率的に光を捉え増幅できる。Timur Shegaiのチームは、グラフェンに似た、TMDC材料として知られる、ある種の原子厚2D材料の研究を行っている。それが、アンテナコンセプトと、スタックされた2D材料とに結びつけられ、新しい可能性が現れた。
研究グループは、よく知られたTMDC材料(二硫化タングステン)を使ったが、方法は新しい。微小共鳴ボックス(ギターのサウンドボックスのようなもの)を作り、その内部で光と物質の相互作用を可能にした。その共鳴ボックスは、物質内のある「トーン」で光が捉えられ、跳ね回ることを保証する。したがって、光エネルギーが効率的にTMDC材料の電子に伝えられ、再び戻ってくることを保証している。光エネルギーが2つの状態、光波と物質の間で振動すると言える。同時に、ボックス内で光エネルギーは捕らえられ、増幅される。研究グループは、わずか100nm径の単一粒子内で光と物質を究めて効率的に結合することに成功した。
このオールインワン・ソリューションは、基礎研究における予想外の前進であるが、応用フォトニクスでは、もっとコンパクトでコスト効果の優れたソリューションにも貢献することが期待されている。
「スタックされた原子厚材料の微小光共振器へのナノ構造化のデモンストレーションに成功した。これは、フォトニクス応用で非常に興味深い。これが材料の新しい使用法であるので、われわれはこれをTMDCナノフォトニクスと呼んでいる。この研究分野には明るい未来があると確信している」とチャルマーズ物理学部准教授、Timur Shegaiはコメントしている。
(詳細は、https://www.chalmers.se)