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金属マイクロオブジェクトを3Dプリンティング

June, 26, 2019, Zurich--3Dプリンティングは、ますます重要な製造法になっている。ETHの研究チームは、複数の金属でできたマイクロサイズ物体を高い空間分解能で製造できる新しい3Dプリンティング技術を開発した。
 3Dプリンタは、生産プロトタイプから人工臓器、家全体まで、ほぼどんなものでもプリントできる。特に微小スケールでは、積層造形(AM)は、リソグラフィなど、他の技術を使っては実現できな構造を製造することができる。これまでのところ,AMの弱点は、マイクロメートルスケールで金属構造を実現することだった。ETH-Zurich、材料学部、ナノ冶金研究所教授、Ralph Spolenakをリーダーとする研究チームは、他の学部と協力して、空間分解能250nmで、2つの金属を同時にプリントできる技術を開発した。

 3D金属プリンティングの従来法は、インクベースである。つまり、所望の金属は懸濁液にナノ粒子として溶解され、プリンティングノズルで表面に供給される。そのようなインクの利点は、様々な材料で作れることであるが、重要な欠点もある。「そうした技術は、加熱をともなうプリント後処理が必要であり、これは材料の収縮や明白な空隙率となる」と、Nature Communications論文の筆頭著者、Alain Reiserはコメントしている。さらに同氏は、「一般的に、金属構造は伝導性が減少し、機械的に不安定になる。さらに、液体溶媒の有機化合物で汚染されることがある」と指摘している。

イオンでプリント 
 この問題を解決するために、ETHの研究チームは,ダイレクトルートを選択した。金属は、もはやナノ粒子として堆積されることはない。むしろ、帯電した金属イオンの形で輸送される。そのようなイオンは、電圧を「犠牲アノード」に印可してプリンティングノズル内で作られる。犠牲アノードは、所望の金属で構成されている。イオンは,次に、溶媒内の電気力によりプリンティング表面に噴霧される。そこで電荷が失われ、金属として再構成されるのである。
 この方法でプリントされた金属は、隙間がなく、電気的、機械的特性は、伝統的な方法で製造された薄膜に匹敵する。さらに、その新しいプリンティング技術は、分解能250nmであり、プリンティング速度は10ボクセル/秒である(ボクセルは体積要素、2Dプリンティングのピクセルと類似)。これにより、同技術は、既存の電気化学プリンティング法よりも10倍高速である。

 新しい「電気流体力学レドックスプリンティング技術」には、もう1つ重要な利点がある。Reiserは、「金属イオンで直接プリントすることで、インクを介した回り道ではなく、2つの金属を同時に、または交互にプリントすることさえできる。これにより、化学的、電気的、機械的特性を局所的に制御して金属構造を製造できる」と指摘する。これを達成するために、研究チームは、ダブルプリンティングノズルを使用する。その内部には2つの異なる犠牲アノードがある。どの金属を何時、どこに、どんな濃度でプリントするかは、今では、印加電圧により簡単にコントロールできる。

シングルプリンティングノズルを使っても、両方の金属を正確に位置決めすることが容易にできる。2つの金属を1秒に最大10回切り替えることができる。その方法で、研究チームは、例えば、わずか250nm幅の微小ピラーをプリントできた。また、それは銅と銀でできた交互セクションを含んでいる。2金属合金の配合を調整することで、ナノピラーの局所的多孔性、したがって剛性や安定性を精密に制御できる。

多様なアプリケーション
 その新しい技術には、多くの可能なアプリケーションがある。ETHの研究チームは、現在、その3Dプリンティング法を使い、有機半導体に極細ワイヤを接続するために、プリント電気回路の専門家と協力している。さらに、将来的には、使う金属の幅(これまで、銅、銀と金をテストした)を広げようとしている。例えば、磁気材料を含める。Reiserによると、最終的には、光検出器、プリントICs、機械的メタマテリアルが可能になる。
(詳細は、https://www.ethz.ch)