June, 25, 2019, Cambridge--ケンブリッジの人工知能(AI)会社、Intellegensが開発したAlchemiteマシンラーニングアルゴリズムによって、3Dプリンティングプロジェクト用の新しい材料の設計が著しく簡素に、迅速に、コスト効果よくなっている。
複数の事業パートナーとケンブリッジ大学Stone Groupとの研究提携で、Alchemiteディープラーニングアルゴリズムを使って、ダイレクトレーザデポジション向けに新しいニッケルベース合金を設計した。高コストで不確かな実験は不要である。これによりチームは、推定で15年の研究年とR&D投資1000万ドルの節約となる。
IntellegensのAlchemiteエンジンは、疎データ、ノイズの多いデータで動作するように設計されており、これを使うことで、Stone Groupの研究パートナーは、既存の材料情報を分析し、新しいニッケルベースのコンバスタアロイを特定することができた。これは、ジェットエンジンアプリケーション向けのコンポーネント3Dプリント用に必要とされる性能目標を満たすものである。
ダイレクトレーザデポジションは、特注の高付加価値部品の製造、修理のために広範な産業で利用されている。例えば、航空宇宙エンジンコンポーネント、タービンブレード、石油採掘ツールである。従来の製造技術よりも迅速であるのでダイレクトレーザデポジションは、コンポーネントメーカーにとっては、大幅な時間とコスト節約の可能性がある。しかし、この製造法が、その全潜在力を出すには、プロセス中に生まれる高温と応力勾配を受け入れる新しい世代の材料が必要になる。
従来の研究技術を使った新材料の開発は、一般に多くの試行錯誤を必要とする長く、コストがかかるプロセスである。また、ダイレクトレーザデポジション用に新しい合金を設計することは、非常に難しい。これまで、ダイレクトレーザデポジションは、約10のニッケル合金組成にしか適用されていない。つまり、さらなる研究を促進するために利用できるデータ量が非常に限られている。
Alchemiteにより、合金開発チームは、この問題を回避し、全般的な材料選択プロセスのスピードアップ手段を手にすることができた。0.05%の完結データから学ぶことができるのでAlchemiteは、利用できるデータを関連付け、相互参照することができた。可能性のある新しい合金の物理的特性を評価し、それらが実際のアプリケーションシナリオでどのように機能するかを正確に予測する。
Alchemiteのアプリケーション、最適の合金オプション判定に続いて、Stone Groupの研究チームは、新しい材料の物理的特性を確認する一連の実験に着手した。チームが新しい合金に求めていた特性は、加工適応性、コスト、密度、位相安定性、耐クリープ性、酸化、疲労寿命、それに熱応力耐性に及ぶ。結果から分かったことは、新しい合金がダイレクトレーザデポジション、問題のアプリケーションに、他の商用合金よりも適していたことである。
IntellegensのCTO、ケンブリッジ大学Royal Society University Research Fellow、Gareth Conduitは、「特性間の関係を正確に示すことができるディープラーニング機能により、Alchemiteは、このプロジェクトを支援する独特の立場にあった。チームは、Alchemiteにより、全体でわずか10の合金の加工可能性データエントリーを導くために、熱抵抗計測の大きなデータベースを使った。その情報から、われわれは、適切な特性を示す可能性が最も高い材料の組合せを選択候補に入れることができた。結果は自明である。Alchemiteのお陰で、チームは新しい合金を自由に使えるるようになり、膨大なR&D時間とコストを削減した」と説明している。
さらに同氏は、「世界中に数100万の利用可能な材料があり、それらは数100の異なる特性を持つ。これらの材料についてわれわれが知っている情報を探求し、新しい物質、基質やシステム見つけ出すために従来の技術を使うことは、何年と言わないまでも、何ヶ月もかかる骨が折れるプロセスである。既存の材料データにある基本的な相関関係を学び、不足している特性を推定するには、Alchemiteエンジンは、目標の特性を持つ新しい材料を迅速、効率的、正確に提案することができるので、開発プロセスをスピードアップする。ダイレクトレーザデポジションや、もっと広範な材料分野にわたるこの技術の潜在力は膨大である。特に、新しい材料が完全に異なる製造プロセスで機能する必要がある3Dプリンティング分野では、この技術の潜在性は非常に大きい」と付け加えている。
(詳細は、https://www.intellegens.co.uk/)