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グラフェンプラズモンで量子コンピューティング

June, 14, 2019, Wien--シングルシート炭素原子を構成する新しい材料は光量子コンピュータの新しい設計につながる。ウィーン大学(University of Vienna)の物理学者とバルセロナのフォトニックサイエンス研究所(Institute of Photonic Sciences)の研究チームは、適合グラフェン構造によりシングルフォトンは、相互作用するようになることを示した。量子コンピュータ向けに提案されたアーキテクチャは、npj Quantum Informationに発表された。

フォトンは、ほとんど環境と相互作用しないので、フォトンは量子情報の蓄積と伝送の最有力候補になる。この同じ特徴が、フォトンにエンコードされた情報の操作を特に難しくしている。フォトニック量子コンピュータを実現するためには、1つのフォトンが2番目の状態を変えなければならない。そのようなデバイスは、量子論理ゲートと言われ,量子コンピュータの構築には何百万の論理ゲートが必要になる。これを達成する1つの方法は、材料内で2つのフォトンが相互作用する、いわゆる「非線形材料」を使うことである。残念ながら、標準的な非線形材料は、量子論理ゲートを構築するには効率が悪すぎる。

先頃、プラズモンを使うことで非線形相互作用が著しく増強されることが分かった。プラズモンでは、光は材料表面の電子に縛られている。これらの電子は、非常に強力なフォトンの相互作用を促進する。しかし、標準材料のプラズモンは、必要とされている量子効果が起こる前に減衰する。

 研究成果では、ウイーン大学のPhilip Walther教授をリーダーとするチームがグラフェンにプラズモンを作ることを提案している。10年前に発見されたこの2D材料は、ハニカム構造に配列された炭素原子層で構成されており、その発見以来、驚くことばかりである。この特殊目的のために、グラフェンの電子の特別な構成が、極めて強力な非線形相互作用に、また並外れて長寿命のプラズモンにつながる。

 研究チームが提案したグラフェン量子論理ゲートで、研究チームは、シングルプラズモンがグラフェンからできたナノリボンになるなら、異なるナノリボンの2つのプラズモンが、その電界を通して相互作用できることを示している。ただし、各プラズモンが、そのリボンにとどまる限り、量子コンピュテーションに必要な、多重ゲートがプラズモンに適用可能である。論文の筆頭著者、Irati Alonso Calafellは、「グラフェン内の強力な非線形相互作用により、2つのプラズモンが同じリボンに飛び込むことが不可能であることをわれわれは示した」と発表している。

 提案されたスキームは、それぞれ個別に観察された、グラフェン独自の特性のいくつかを利用している。ウィーンのチームは現在、同様のグラフェンベースのシステムについて、実験計測を行っていしている。現在の技術でそのゲートの実行可能性を確認するためである。ゲートは、当然、小さく、また室温動作であるので、多くの量子技術に求められるように、ただちに拡張できる。
(詳細は、https://medienportal.univie.ac.at)