June, 12, 2019, Seoul--角膜がひどく破損したとき、角膜移植が必要になる。しかし、角膜提供を待つ患者は多く、何ヶ月も、あるいは何年も待つ場合がある。このため、多くの研究者が人工角膜の開発に取り組んでいる。現行の人工角膜は、組換えコラーゲン、合成ポリマなど化学物質でできている。したがって、眼への組込が容易でなく、角膜移植後、透明にならない。
韓国の研究チーム(Kyungpook National University School of Medicine)他は、脱細胞化角膜基質と幹細胞でできたバイオインクを使って人工角膜を3Dプリントした。この角膜は、角膜組織から採ったバイオインクでできているので、生体適合的である。また,3D細胞プリンティング技術は、角膜のマイクロ環境を再現できる。したがって、その透明性は、ヒトの角膜と同等である。この研究は、Biofabricationに発表された。
角膜は、瞳を覆う薄い外層であり、外的環境から眼を保護している。角膜は、光の侵入を許す最初の層であるので、透明で、瞳の動きとともに動き、柔軟性がなければならない。しかし、様々な角膜関連の特性のために、合成の生体適合材料を使う人工角膜の開発には制約がある。加えて、多くの研究者が角膜のマイクロ環境を透明にしようとしたが、既存研究で使用される材料のためにマイクロ構造は光の透過を制約する。
人の角膜は、コラーゲン原繊維の格子パタンで組織化されている。角膜の格子パタンは、角膜の透明性と直接関連している。多くの研究者がヒトの角膜を再現しようとしてきた。しかし、角膜移植に適用するには制約があった。身体で細胞毒性物質を使用すること、透明性の低い不十分な角膜特性などのためである。この問題を解決するために研究チームは、3Dプリンティングで発生する剪断応力を使って、角膜格子パタンを作り、角膜基質から抽出した脱細胞化細胞外マトリクスバイオインクを使用することで角膜が生体適応となることを実証した。
3Dプリンティングプロセスで,プリンタのインクがノズルから出て、ノズルを通るとき、剪断応力を生み出す摩擦力が生ずる。研究チームは、コラーゲン原繊維のパタンをコントロールするように剪断応力を調整することでヒトの角膜の格子パタンで、透明な人工角膜の製造に成功した。
研究チームの観察では、コラーゲン原繊維がプリンティング経路とともに、4週間後、体内でヒトの自然な角膜の構造と同等の格子パタンを造った。
Creative IT Convergence Engineering、Jinah Jang教授は、「提案された戦略は、人工の角膜基質の透明性と安全の両方で基準を達成できる」とコメントしている。
(詳細は、http://www.postech.ac.kr/)