June, 7, 2019, Atlanta--ジョージア工科大学、カリフォルニア大学サンディエゴ(UCSD)、MIT研究チームは、ペロブスカイト太陽電池の性能を高める新たな研究成果を報告している。
研究成果は、Scienceに発表された。DOEと国立科学財団の支援を受け、研究チームは、アルカリ金属を従来のペロブスカイトに加えることでどのように性能が向上するかを詳述している。
ペロブスカイト結晶を理解するには、その結晶構造をトライアドとして考えることが役立つ。その一つは、一般に、鉛元素から形成される。二つ目は、一般にメチルアンモニウムなどの有機成分、さらに三番目は臭素やヨウ素など他のハロゲン化物で構成されることが多い。
近年、研究者は、効率向上のために種々のレシピのテストに集中している、例えばヨウ素や臭素を構造の鉛成分に加えるなどである。後に、研究者は、一般に有機分子で占められているペロブスカイトの一部とセシウムやルビジウムの置き換えを試した。
Correa-Baenaは、「初期の研究から、セシウムやルビジウムを臭素とヨウ素鉛ペロブスカイトに加えることで、安定性と性能が向上することが分かっていた」と言う。
しかし、そのようなアルカリ金属がペロブスカイトの性能を高める理由は分かっていなかった。
その理由を理解するために、研究チームは高強度X線マッピングを使ってナノスケールでペロブスカイトを調べた。
「ペロブスカイト材料内の成分を見ることで、個々の元素がデバイスの性能向上にどのような役割を果たしているかを知ることができる」とUCSDのナノエンジニアリングPhD学生、Yanqi Luoは説明する。
セシウムやルビジウムが、混合臭素とヨウ素鉛ペロブスカイトに加えられると、臭素やヨウ素がより均質に混ざり合い、これらの添加物がない材料と比べて、最大2%の変換効率向上となることを発見した。
「化学と構造の均一性が、ペロブスカイト太陽電池の最高ポテンシャル動作を助けるものであることが分かった。そのバックボーンのどんな不均質も,鎖の弱い環のようなものだ」とFenningは言う。
それでも、研究チームは、ルビジウムまたはセシウムの添加が臭素とヨウ素がより均質になる原因であると見ていた。その独自の陽イオン内のハロゲン金属自体が完全クラスタのままであり、電流を生み出さない太陽電池の不活性「デッドゾーン」を作るからである。
Fenningは、「これは驚きであった」と言う。「これらのデッドゾーンの存在は、一般には、太陽電池を殺す。他の材料では、それらは他の領域から電子を吸い取り、放出しないブラックホールととして機能するので、電流と電圧が失われる。
しかし、このペロブスカイトの場合、ルビジウムやセシウムの周囲のデッドゾーンは、いくらかの電流損失はあるものの、太陽電池の性能に害を及ぼさないことが分かった。このことは、これらの材料が、いかにロバストであるかを示している。また、改善の余地もあることがわかる」。
研究成果は、ペロブスカイトベースのデバイスがナノスケールでどのように機能するかの理解を強化し、今後の改善の基礎を築くものである。
(詳細は、http://www.rh.gatech.edu)