May, 14, 2019, 東京--玉川大学量子情報科学研究所は、Y-00光通信量子暗号(Y-00暗号)の通信実験を行い、1,000kmの光ファイバ暗号通信に成功した。今回の実験は、玉川大学で開発したY-00暗号トランシーバの通信性能試験で、Y-00暗号の実利用に向け開発が大きく前進した。
実験では、送信端と受信端の両方にY-00暗号トランシーバを設置した。トランシーバは、コンパクト(幅約43cm、高さ約4cm)な仕様で一般的な通信機器の規格に納まっている。また、トランシーバはメディアコンバータのようにギガビットイーサネット(GbE)とY-00暗号を相互変換する機能を備えている。Y-00暗号は「盗聴者に暗号を傍受させない」ことを特徴とする光通信向けの暗号で、超多値変調信号を用い雑音マスク効果を利用する。今回の実験では4096値の変調信号(変調速度:1.5 Gb/s)を用いた。
4096値の強度変調信号はあたかも雑音のように見える。これは、盗聴者が観測する波形で、雑音のように見えることが望ましい。1,000kmの伝送路は、長さ40kmの光ファイバ伝送路の後に信号光を光増幅器で増幅中継する構成で、合計25個の光ファイバ伝送路と光増幅器を用いた。1,000km伝送後、盗聴者には雑音のように見えるが、正規受信者は情報を復号するための暗号鍵を所有しているので、元の情報に戻すことができる。実験では符号誤り率を測定し、エラーなく暗号通信ができていることを検証した。
成果の詳細は、2019年5月5日(日)から10日(金)まで米国カリフォルニア州サンノゼで開催されている国際会議「CLEO 2019(Conference on Lasers and Electro-Optics 2019)」で発表した。
(詳細は、https://www.tamagawa.jp/)