May, 9, 2019, Washington--ウエスタンオーストラリアの研究チームは、生体組織の硬さや弾力性をイメージング、定量評価することで触覚を強化するウエアラブルプローブを開発した。デバイスは、乳ガンの外科切除を改善するために開発されており、また脳や肝臓の手術、他のタイプのガンにも使える。
研究成果は、OSAのBiomedical Optics ExpressにUWA研究者が発表した。新しいデバイスは、ウエアラブル指ぬきにファイバプローブを組み込んでいる。
乳房温存手術、最も一般的な乳ガン外科処置では、外科医が組織に触れ、圧迫して硬いガン細胞が切除されたことを確認する。数日後、今度は病理組織検査が行われ、腫瘍全体が切除されたことを確認する。今日、このタイプの手術を受けた20-30%の患者は、さらなる処置を必要としている。病理組織検査がガン細胞が残っていることを示すからである。
「われわれのプローブは、組織の硬さの定量化と高解像度イメージングにより医者の主観的触覚を強化する。これにより、最初の乳房温存手術中に全てのガン細胞の切除が容易になり、したがって物理的、心理的負担、再手術にともなうコストが軽減される」とRowan W. Sanderson、論文の筆頭著者は説明している。
触覚を画像に変換
指マウントプローブは、定量的マイクロエラストグラフィ(QME)という技術を使って、触覚を高解像度画像に変換する。QMEは、光イメージング技術、OCTからの計測を利用する。OCTは、反射、つまり光の「エコー」を計測することで組織構造の高解像度、深さ分解能がある画像を生成する。
そのデバイスを使うには、フィンガーマウントプローブを組織に垂直に押し込み、同時にOCT画像が記録される。「触覚を維持することで、現行の臨床ワークフローを保持し、尤度を高めることを狙っており、したがってこの技術は広範な臨床利用に適用されることになる」とSandersonは話している。
正確で弾力性のある計測のために研究チームは、新しい信号処理方法を開発した。これは、スキャニング中の一貫しない動きと圧力を扱うカスタムアルゴリズムである。3Dプリンティングは、簡単でコスト効果の優れた方法でプローブの外部筐体のプロトタイプを素早く作製するために役立った。
「われわれのフィンガーマウントプローブは、病気の指標となる、硬さのマイクロスケール変化を正確に検出できる。小型サイズは、手術キャビティのような限られた空間でのイメージングに最適である」とSandersonは話している。
組織試験、
プローブを評価するために研究チームは、胸の健全な組織、病気の組織を真似るように設計された、シリコーンファントムとして知られる材料での試験を始めた。これらの試験は、フィンガーマウントプローブが87%の精度を持つことを示した。これは従来のベンチトップQMEシステムよりもわずかに低い数字であるが、潜在的な臨床利用にはそれでも十分に高い。
次に、そのプローブを使って、カンガルーの筋肉のサンプルを加熱することで起こる硬さ変化を計測した。この実験は、筋肉サンプルが、加熱過程で硬さが6倍に増加したことを示している。硬い含有物を有するシリコーンファントムを横方向にプローブスキャンすることで暫定的な2D画像が得られた。スキャニングしない実験よりも精度は低かったが、研究者によると、オペレータの指をスワイプすることでイメージングの見通しは、非常に有望である。「サンプルの特徴の間のコントラストは、それでもかなり歴然としている、つまりそれは2Dスキャニングが将来的に極めて有望であることを示している」とSandersonは話している。
研究チームは現在、、触診の感度や機敏さを保持するように、プローブの光コンポーネントを手術用手袋に組み込もうとしている。研究チームは、さらに、2Dスキャニングの精度改善にも取り組んでいる。