April, 11, 2019, Madison--ほとんどの3Dプリンティング技術は、一度に一つの材料でできたパーツしか製造できない。3Dプリンタが、多様な材料を使い、多材料パーツを作れるようになると、より複雑なアプリケーションが開発可能になる。
新しい研究は、、この複雑さを達成するために光の多波長を使う。ウイスコンシン-マジソン大学(University of Wisconsin–Madison)の研究チームは、これまでにない3Dプリンタを開発した。これは可視光とUV光のパタンを使い、2つのモノマのいずれかが、重合化されて固体材料を形成するかどうかを決める。光の異なるパタンは,多材料パーツを生み出すために必要な空間的制御を行う。この研究は、Natrue Communicationsに発表された。
院生、Johanna Schwartzとともにこの研究を指導したマジソンのA.J. Boydston化学教授は、改善されたプリンティング材料は、エンジニアリングの進歩を補完するために化学的アプローチが必要なことを認識している。
Boydstonは、「これは、一つのモノで複数タイプの材料で3Dプリンティングについてのわれわれの考え方の変更である。これは、分子からネットワークへ、ボトムアップ化学者のアプローチ以上である」と言う。
ほとんどの多材料3Dプリンティング法は、適切な位置に異なる材料を入れるために分離した材料タンクを使う。
Boydstonは、一つのタンク、多材料コンポーネントアプローチ、これは分子を合成する際の化学者のワンポットアプローチと同じであるが、このアプローチが、異なる材料を持つマルチタンクよりも実用的であると考えた。このアプローチは、異なる光波長の能力に基づいて、どの出発原料を固体製品の異なるセクションに重合化するかを制御する。その出発原料は、モノマとして知られる単純な化学としてスタートし、プラスチックが形成されるように、長い化学ストリングに重合化される。
研究チームは、スタックされると、3Dデザインになる、マルチデジタル画像を作成する。その画像は、UVまたは可視光を使って出発原料を重合化するかどうかを制御し、これが最終材料とその特性、硬さなどを制御する。研究者は同時に2つのプロジェクタからの光を液体出発原料タンクに同時に向ける。そこで層が一つ一つプラットフォームに構築される。一つの層が構築されると、構築プラットフォームが上に動き、光が次の層を構築する。
Boydston と Schwartzが直面した主要な障害は、出発原料の化学の最適化だった。まず、一つのタンクで2つのモノマがどのように振る舞うかを考えた。また、モノマが同じ硬化時間であることも保証しなければならなかった。これは、各層内でハード材料とソフト材料がほぼ同時に乾燥するようにするためである。
適切な化学により、UVまたは可視光を使って、プリントされた対象物内で各モノマが正確にどこで硬化するかを決めることができた。
「この段階で、われわれはハード材料をワンステップでソフト材料の隣に置くことができた。多くの不完全性はあるものの、これらはすばらしい斬新な、やりがいのある仕事である」とBoydstonは話している。
現在、同氏は、こうした不完全性に対処し、どんな他のモノマの組合せが利用できるか、また異なる波長の光を使ってこれらの新規材料を硬化できるかどうかに応えていく。さらに、波長制御、マルチ材料3Dプリンティングの影響を高める学際的なチームを集めたいと考えている。
研究チームのマルチ材料3Dプリンティングへの斬新なアプローチは、デザイナ、芸術家、エンジニア、化学者が3Dプリンティングで非常に複雑なシステムを作ることを可能にする。アプリケーションには、人工器官など、個別化医療デバイスの作製、模擬器官や組織の開発が含まれる。医学生は、これらの合成器官を、患者に取り組む前に、トレーニングで利用できる。
工学的なボトルネックを取り除くために化学的方法を利用することは、正に3Dプリンティング産業が進むべき方向である、とSchwartzは主張している。
「化学と工学とのこの橋渡しは、その領域を新たな高さに押し上げる」とSchwartzは考えている。
(詳細は、https://news.wisc.edu)