April, 5, 2019, Washington--カナダ国立科学研究所(INRS)の研究チームは、一般に100fpsに制約されている標準イメージングセンサを使って、最大150万fpsの高速画像取得が可能な新しいイメージング法を開発した。この新技術により、バイオメディカルリサーチ、フィルムのスローモーションシーンなどのアプリケーションで極めて高速のイベントのキャプチャが可能になる。
INRSの研究チームは、この新しい方法、圧縮光ストリーキング超高速写真(COSUP)をOptics Lettersに発表した。チームは、わずか10µs幅の単一レーザパルスの伝達をそれを使って捉えることで、COSUPの力を示している。
「COSUPのアプリケーション幅は広い。顕微鏡から望遠鏡まで、多くのイメージング機器に組込可能だからである。COSUPと様々なCCDおよびCMOSカメラを使うことで、その方法を幅広い範囲の波長に使うことができ、偏光など様々な光学特性を撮ることができる」とINRSの准教授、Jinyang Liangは説明している。
研究チームによると、COSUPシステムは、映画産業やスポーツビデオ撮影にも有用である。ここでは、スローモーションプレイバックのために、高速カメラを使って詳細な、素早い動きを撮る。チームは、スマートフォンで高品質スローモーションビデオキャプチャができるように、システムの小型化にも取り組んでいる。
高速イメージング
今日のカメラは非常に高感度であり、幅広い波長で利用できるが、イメージングセンサのためにそのスピードが制限されるのが一般的である。特殊高速カメラは、高速でわずか数フレーム、1Dイメージング、低解像度あるいは大きく高価なセットアップで記録するような制約トレードオフで製品化されている。研究チームは、COSUPを開発し、圧縮センシングというコンピュータアプローチと光学ストリークイメージングというイメージング法を統合することで、こうした課題を回避した。
「COSUPは、イメージング速度では既存の高速カメラと同じ仕様であり、数万fps~150万fpsまで可変である。われわれは市販のコンポーネントを使って、非常に経済的なシステムを開発した」とJinyang Liangは言う。
COSUPを操作するために、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を利用し、圧縮センシングを使ってシーンの各時間フレームを空間的にエンコードする。このプロセスは、各フレームの取得時間に、固有のバーコードのようにラベル付けする。次にスキャナを使い、時間シェアリングを行い、光学ストリーク画像を作る、光の時間的特性が推定されるリニア画像である。それは、従来のカメラではシングルショットで撮られる。
「ストリーク画像は、2D空間および時間情報の混合を含んでいるが、われわれは、再構成を利用してそのデータを分離する。各時間フレームにつけた独自のラベルを利用する。これはCOSUPに2Dイメージング視界を与え、各ムービーで数100フレームを記録できる。一秒に150万フレーム、解像度は500×1000ピクセルである」と論文の筆頭著者、Xianglei Liuは説明している。
シングルレーザパルス取得
研究チームは、CMOSカメラで2つの短寿命イベントを撮像することでCOSUPを実証した。最初の実験では、USAFの文字マスクを通して、パルス幅各300µsの4つのレーザパルスを出した。イメージング速度6万fpsのCOSUPを使い、このイベントを240フレームで記録することができた。イメージング速度を150万fpsに上げることで、USAFマスクを透過するシングル10-µmレーザパルスを記録した。
第2の実験で、研究チームは高速で動くボールのパターンの位置を追跡した。イメージング速度140000fpsでCOSUPを使い、ボールのパターンを時間経過で空間的位置と形状を記録した。また、各時間フレームでボールの重心を計測し、それを既知の位置と比較した。これにより、COSUPがボールの位置を正確に追跡できることを示した。
研究チームは、個々のナノ粒子のリン光寿命計測にCOSUPシステムを使用することを計画している。これは、光ナノサーモメタ実現に用いられるもので、光線力学治療として知られる光ベースの医療処置に役立てられる。
また、研究チームは、ニューロンの膜電圧のイメージング改善にCOSUPを利用することにも取り組んでいる。これは、根本的な脳機能の細胞機構を明らかにするために役立てることができる。この種のイメージングは難しい。プロセスが一時的で、反復性がなく、使用する指標がほとんど光を発しないからである。「電子増幅CCDのような高感度カメラとCOSUPを使うと、このアプリケーションに必要とされる、リアルタイム、高速イメージングが可能になる」とLiangは話している。
研究チームは、外で使えるほどにコンパクトなベンチトップシステムの実現にも取り組んでいるが、最終的にスマートフォン組込みが目標である。チームは、COSUPを商用製品に向けて開発するためにAxis Photoniqueと提携を始めた。