March, 22, 2019, University Park--ペンシルバニア州立大学の研究者によると、新しいLED電球が、いずれ家庭で使われるようになり、電気代の低減に貢献する。研究チームは,蛍を真似た構造のLEDが効率を高めると主張している。
電気工学教授、Stuart Yin氏は、「LED電球はクリーンエネルギーで重要な役割を担う。一般的な商用LEDの効率は現在、50%程度に過ぎない。大きな懸念事項の1つは、LEDの光抽出効率の改善法だ。われわれの研究は、LEDから光を抽出する方法に取り組んでいる」と話している。
ホタルとLEDは、発光で同様の課題に直面している。これは、光が後方に反射され失われるからである。LEDのソリューションの1つは、より多くの光が逃がす微細構造の表面構造を作ることである。ほとんどのLEDでは、このような突起は対称的であり、各側面に同一のスロープを持っている。
ホタルの発光器もマイクロ構造であるが、ホタルの発光器のマイクロ構造は非対称であることが確認されている。つまり、横が異なる角度で傾いていて不均衡に見える。
「発光器がこのような非対称マイクロ構造であるのはホタルだけでなく、ある種の発光するゴキブリも、その発光点に同様の構造を持つと報告されている」と電気光学博士課程学生、研究の筆頭著者、Chang-Jiang Chen氏は話している。「非対称構造を用いて、光抽出効率を少し深く研究しようと考えたのはここである」。
マイクロ構造面作製に非対称ピラミッドを使ったことで、研究チームは、光抽出効率を約90%改善できることを確認した。研究成果は、Optikにオンライン発表されている。
Yin氏によると、非対称マイクロ構造は、二通りに光抽出を増やす。まず、非対称ピラミッドの表面エリア増加により、表面の光相互作用が増えるので、トラップされる光が少なくなる。第2、光が非対称ピラミッドの2つの異なるスロープに当たるとき、反射のランダム化効果が大きくなり、光は再度、逃れる機会が与えられる。
研究チームは、コンピュータベースのシミュレーションを使って非対称面が理論的に光抽出を改善することを示した後、次にこれを実験的に実証した。ナノスケール3Dプリンティングを使い、チームは対称面と非対称面を作り、放出光の量を計測した。予想通り、非対称面が放出した光が多かった。
LEDベース照明市場は、クリーンエネルギー需要増加にともない、成長しており、推定では、2024年には850億ドルに達する見込みである。
LEDは、従来の白熱電球、蛍光電球よりも環境に優しい。長寿命で、エネルギー効率がよいからである。
2つのプロセスが、LEDの効率全般に寄与する。まず、光の生成、量子効率は、エネルギーがLED材料を通過する際にいかに多くの電子が光に変換されるかで計測される。この部分は、すでに商用LEDでは最適化されている。第2のプロセスは、LEDからの光抽出、光抽出効率である。
商用LEDでは、テクスチャ面はサファイアウエファ上に形成される。最初に、UV光を使って、サファイア面に化学薬品から保護するマスクパタンを作る。次に、化学薬品が塗布されると、パタン周囲のサファイアを溶かし、ピラミッドアレイを作る。
従来のLEDでは、製造プロセスは通常、サファイア結晶の方向により、対称的ピラミッドとなる。Chen氏によると、研究チームが、傾斜角度でサファイアブロックをカットすると、その同じプロセスが不均衡なピラミッドを作る。研究チームは、製造プロセスの一部を変え、そのプロセスがLEDの商用製造に簡単に適用できることを示した。
研究チームは、この研究について特許を申請した。
(詳細は、https://news.psu.edu)