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先行技術を上回るセンシングとイメージングTHzレーザ

December, 28, 2018, Cambridge--MITの研究チームが設計したテラヘルツレーザは、高コントラストパワー、タイトビームパタン、広い電気周波数チューニングの3つの主要性能目標を達成した初めての技術であり、化学センシングやイメージングの広範なアプリケーションにとって貴重なものとなる。
 最適化されたレーザを使うと、われわれの銀河の起源についてさらに理解を深める目的で、今後のNASAミッションで星間エレメントを検出することができる。地球では、ハイパワーフォトニックワイヤレーザは、皮膚ガンや乳ガンイメージング改善、薬剤や爆発物の検出などにも使える。
 レーザの新設計は、マルチ半導体ベース、効率的ワイヤレーザを組み合わせ、それらを「位相ロック」、つまり同期発振させる。アレイに沿ったペアの出力統合が、最小ビーム広がりのシングル、ハイパワービームを作り出す。結合された個々のレーザの調整により、広い周波数チューニングをして計測における分解能と忠実性を改善できる。3つ全てのパフォーマンス測定基準を達成するとは、研究チームによると、ノイズ低減、分解能向上、一段と高い信頼性およびコスト効果の優れた化学検出、医療イメージングである。
 「チップベースのテラヘルツレーザで、同時に3つ全ての基準を達成したのはわれわれが初めてである」とNature Photonicsに論文を発表した、筆頭著者、Ali Khalatpour氏はコメントしている。

 以前の設計に立脚して、Khalatpour氏は、思いもよらぬソース、有機化学から着想を得た。同氏は、両側に配列された原子の長いポリマチェーンに気づいた。それは「π結合」であり、分子軌道がオーバーラップして結合を一段と安定化していた。研究チームは、π結合コンセプトを開発中のレーザに適用し、他の方法では独立しているワイヤレーザを、アレイに沿って密着させた。この新しい結合様式により、2つ、もしくは多数のワイヤレーザの位相ロックが可能になる。
 周波数チューニングを達成するために研究チームは、微小な「ノブ」を使って各ワイヤレーザの電流を変えた。これは、レーザを通過する光、つまり屈折率をわずかに変える。
 実験では、研究チームは10のπ結合ワイヤレーザアレイを作製した。レーザは、10GHzにおよぶ連続周波数チューニングで動作し、出力は約50~90mWであった。これは、アレイに存在するπ結合レーザペアの数に依存する。ビームは、10°の低いビーム広がり。これはビームが距離とともに焦点からどの程度外れるかを示している。
 研究チームは現在、高ダイナミックレンジ、110dB以上のイメージングシステムを作製中であり、皮膚ガンイメージングなど、多くのアプリケーションで利用できるものとなる。皮膚ガン細胞は、健康な細胞よりもテラヘルツ波を強く吸収するので、潜在的にテラヘルツレーザは、皮膚ガンを検出できる。しかし、以前にこの目的で使用されていたレーザは、大きくて効率が悪く、周波数チューニングもできない。研究チームのチップサイズデバイスは、出力でそうしたレーザに匹敵するか、上回っており、チューニング機能も提供する。
(詳細は, http://news.mit.edu)