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ETH-Zurich、ラストマイル向けにミリ波を直接光に変換

December, 26, 2018, Zurich--ETH-Zurichの研究チームは、ミリ波によるデータ伝送を光ファイバ用に直接光に変換する変調器を開発した。
 光波の発振周波数は高いので、新開発の変調器は高速データ伝送に最適になる。データは、光ファイバで伝送され,簡単に数Gbpsが可能になる。中央局光ケーブルから家庭のインターネットソケットまでの「ラストマイル」は、最も難しく高価である。代替の中には、例えば4/5Gモバイルのように安価なものはあるが、ストリーミングTVのような、今日のデータハングリーなアプリケーションに必要となる、高い伝送レートを全てのユーザに同時提供できない。

ETH-Zurichの電磁場研究所教授、Jürg Leuthold氏の研究チームは、シアトルのワシントン大学の研究者のサポートを得て、新しい光変調器を開発した。これは、将来的にラストマイルを効率的に、高周波マイクロ波(ミリ波)の低コストで、カバーする。すなわち,大容量伝送を可能にする。

光強度の変動により光ファイバにエンコードされたデータをミリ波で伝送するには、非常に高速、高価な電子コンポーネントが必要になる。反対に、ミリ波はまずアンテナで受信され、次に増幅され,ベースバンドに落として、最終的に光変調器に注入される。すなわち、無線波のデータを光パルスに戻す。

研究チームは、バッテリーやエレクトロニクスなしで動作する光変調器の作製に成功した。「われわれの変調器は、外部の電力供給とは完全に独立である。そのうえ、原理的にどんな電柱にもマウントできるほとに非常に小さい。そこから、個々の家庭からのマイクロ波信号を介してデータを受信でき、それらを直接光ファイバに送り込める」とYannick Salamin氏は説明している。同氏は、その新しい変調器の開発で中心的な役割を果たした。

ETH-Zurichの作製した変調器は、1㎜以下のチップで構成されている。チップにはマイクロ波アンテナも含まれる。そのアンテナが、ミリ波を受信し、それを電圧に変換する。電圧は、チップ中央の薄いスロットに作用する、これが変調器の実際の心臓部である。スリットは、数µm長、幅は100nm以下であり、電界に特に感度のある材料で満たされている。ファイバからの光ビームがそのスリットに送り込まれる。しかし、スリット内部で光は、もはや電磁波としてではなく、プラズモンとして伝播する。プラズモンは、金属表面に、電磁場と、電荷振動からできたハイブリッドである。この特性により、プラズモンは、光波よりも遙かに強く閉じ込められる。
 スリット内部の電気的に感度(非線形)がある材料は、アンテナによって生ずる最小電界でも、プラズモンの伝播に強く影響を及ぼすことを保証する。プラズモンがスリット端で変換されて光波に戻るとき、波の振動位相への影響は、維持される。こうして、ミリ波に含まれるデータビットは,直接光波に送り込まれる、エレクトロニクスを介して迂回することなく、外部パワーも必要ない。60GHzのマイクロ波信号によるラボでの実験で、研究チームは、5mのファイバで10Gbpsまでの伝送レートを実証することができた。1mでは20Gbpsであった。

微小サイズと無視できる程度のエネルギー消費の他に、新しい変調器は多数の利点をもっている。「ミリ波から光波への直接変換は、周波数と正確なデータエンコーディングフォーマットに関して、この変調器を特に多様にする」とLeuthold氏は強調している。実際、その変調器は、新しい5G技術にすでに適合している。また、ミリ波とテラヘルツ周波数300GHz、100Gbpsまでのデータ伝送レートをベースにした将来の産業基準にも適合している。さらに、同変調器は標準的なシリコン技術で製造可能であり、比較的低コストである。
さらに、Leuthold氏は、関連の電磁放射を心配するユーザを安心させる。無線、Wi-Fiモデムのマイクロ波とは違い、これらは全方向に一様に伝播するが、ミリ波は外部への伝送に強く集中でき、屋根のアンテナと20㎝径のビーム内部のライトポール間のみで伝播する。これは、他のワイヤレス技術と比べて、伝送に必要な電力を著しく下げる。また、Wi-Fiモデムに一般的な、信号が互いに邪魔し合う問題もなくなる。
(詳細は、https://www.ethz.ch)