December, 4, 2018, Nürnberg--フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク(FAU)の物理学者は、1フェムト秒以下の時間スケールで電子を正確に制御する。
電圧信号の代わりに光波を使って電子システムを制御できることは、世界中の物理学者の夢である。利点は、電磁光波がペタヘルツ周波数で振動すること。これは、将来のコンピュータが今日のPCよりも100万倍高速動作が可能になることを意味する。FAUの研究チームは、この目標実現に一歩近づいた。超短レーザパルスを使いグラフェンの電子を精密制御することに成功したからである。
今日のシステムよりも100万倍高速のエレクトロニクスの電流制御は多くの人々の夢である。究極的に電流制御は、最も重要なコンポーネントの一つである。それがデータと信号伝送にかかわるからである。しかし、これまでのところ、材料で電子の流れをコントロールすることはむずかしかった、金属が光波を反射し、その内部の電子が、これら光波の影響を受けないからである。
FAUの物理学者は、半金属、グラフェンに目を向けた。グラフェンは、わずか1層の炭素で構成され、光が浸透するほどに薄いので、電子を動かすことができる。初期の研究では、Chair for Laser Physicsの物理学者がすでに、超短レーザパルスを使ってフェムト秒の時間スケールで電気信号生成に成功している。これらの究極的時間スケールでは、電子は、波のように振る舞い、その量子的性質を顕在化させる。電子の波は、光場(レーザパルス)で駆動されるとき、材料を通り抜ける。
研究チームは、現在の研究をさらに一歩進め、第2のレーザパルスでこの光駆動の波を狙った。この第2のパルスにより、電子の波は2次元的に材料を通り抜けることができる。これにより、その第2パルスの正確な時間、強さ、方向にしたがって、情報はこの波で伝達される。
Chair of Laser Physics, Christian Heidは、さらに一歩進めることができると考えている。「電子の波を水の波と考える。水の波は、障害により分離し、障害を通過すると合流し干渉する。サブ波の相互関係により、それらは相互に増幅するか、打ち消し合うかのいずれかである。われわれは第2のレーザパルスを使って、個々のサブ波を目標通りに変更し、その干渉をコントロールすることができる」と説明している。「電子の波動特性など、量子現象をこの距離でコントロールするのは非常に難しい。これは材料で電子波を維持するのが極めて難しいからである。電子波は、他の電子で散乱し、その波動特性を失うためである。この分野の実験は一般に、極低温で行われる。われわれは、これらの実験を室温で行うことができる、そのように高速のレーザパルスを使って電子をコントロールできるからである。つまり、他の電子による散乱過程のための時間は残されていない。これによりわれわれは、以前にはできなかったいくつかの新しい物理過程を研究することが可能になる」。
研究者は、光波を使って制御できる電子システム実現に向かって大きく前進した。今後数年で、他の2D材料の電子も同じように制御できるかどうかの研究をすることになる。「材料研究を利用して材料特性を変えることができるようになる。いずれ、光で制御できる小さなトランジスタの構築が可能になる」とHeideは話している。
(詳細は、https://www.fau.eu)