November, 29, 2018, Durham--トポロジカルインシュレータベースの新しいフォニック結晶導波路が、将来の光ベースコンピュータ構築に有望である。
デューク大学(Duke University)の研究チームは、実質的に後方散乱による損失なく光フォトンを鋭い角で曲げるデバイスを実証した。これは、エレクトロニクスが、いずれ光ベースのデバイスに置き換えられるなら必要とされる重要な特性である。
研究成果は、2016年ノーベル賞受賞者のコンセプト、トポロジカルインシュレータに立脚したフォトニック結晶で達成された。結晶格子の形状を慎重に制御することで、光がその内部に入らないようにでき、同時に完璧にその表面に沿って光は伝搬する。
デバイスは、従来の設計よりも遙かに小さいにもかかわらず、角でほぼ完全な伝搬を成し遂げた。
米国半導体工業会の推定では、電子デバイスの数は急速に増加し、2040年までには、それら全てを動作させるだけの電力が世界的に不足する。一つの可能なソリューションは、質量のないフォトンを利用して、現在データ伝送に使用されている電子に取って代わることである。省エネだけでなく、フォトニックシステムは、高速化、広帯域化でも有望である。
フォトンは、オンチップフォトニック通信など、一部のアプリケーションですでに利用されている。しかし,現状技術の問題点は、そのようなシステムは、光を効率的に曲げられないことである。とは言え、いずれマイクロチップでフォトンが電子に取って終わるには、微細空間の角を曲がることが決め手になる。
以前の実証実験で角周囲のフォトン導波中に損失が小さいことを示したが、新しいデューク研究は、わずか35µm長、5.5µm幅の矩形デバイスでそれを証明した。これは、以前に証明したリング共振器ベースデバイスよりも100倍小さい。
新研究では、研究チームは電子ビームリソグラフィを使ってトポロジカルインシュレータを作製し、一連の鋭角曲りで光伝搬を計測した。各曲りでの光損失はわずか数%であった。研究成果は、Nature Nanotechnologyに発表された。
「従来のフォトニック結晶で鋭角コーナーでの光導波は、可能ではあったが、一連の特殊パラメータ調整に骨の折れるプロセスが必要だった。製造でわずかな誤差でも起こると、最適化しようとしていた多くの特性が失われる」と電気・コンピュータ工学教授、Natasha Litchinitserはコメントしている。
「しかし、われわれのデバイスは、フォトンパスのサイズや形状がどうであれ、動作する。フォトンの伝送は、トポロジカルに保護されている。すなわち、フォトニック結晶構造に微小な欠陥があったとしても、導波路は、それでも機能良好である。製造誤差に、それほど影響されない」と論文の筆頭著者、Mikhail Shalaev、博士課程学生は説明している。
研究チームの指摘によると、同デバイスは動作帯域も大きく、現在の半導体製造技術に適合しており、現在通信で利用されている波長で動作する。
研究チームは、現在、自由にON/OFFできる導波路の実現に取り組んでいる。これは、オールオプティカルフォトンベース技術が現実になるためのもう1つの重要な特徴である。