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深海用8Kスーパーハイビジョンカメラを開発

November, 8, 2018, 東京--海洋研究開発機構(JAMSTEC)海洋工学センター海洋基幹技術研究部の石橋正二郎主任技術研究員らは、日本放送協会(NHK)と共同で、深海用8Kスーパーハイビジョンカメラ(U8K-SHVカメラ: Underwater 8K Super Hi-Vision カメラ)の開発に成功し、深海底熱水域の超高精細映像を取得した。
 これまで深海に適用されてきた海中カメラ技術はハイビジョンカメラが主流だったが、通常のハイビジョンカメラから得られる画質(解像度)では海底環境や生物あるいは鉱物等の詳細を正確に把握することは限界があった。一方、映像レベルの高度化には、海中における大容量光伝送技術の高速化に加え、カメラ光学系および海中光学伝搬(照明技術)に至る各海中光学技術に対する最適化が不可欠だった。
 これらの課題に対して統合的に取り組むことで、ハイビジョンカメラの16倍の超高解像度性能を有する8Kスーパーハイビジョン技術と海中光学技術とを融合させることにより、深海プラットフォームに実装可能な「U8K-SHVカメラ」の開発に成功した。この「U8K-SHVカメラ」を深海無人探査機「かいこう」に搭載し、小笠原海域(水深約1,300-1,400m)の深海底において性能評価した結果、8Kカメラが備えるべき超高解像度性能を有していることが確認された。合わせて、「U8K-SHVカメラ」に最適な深海照明を適用することにより、深海における光学的特性が保障され、これまで取得されたことのないマクロからミクロまでの超高精細な深海映像の撮影にも成功した。
 ハイビジョンカメラの16倍もの膨大な情報量が詰められた超高精細映像は、これまで把握することが出来なかった“深海の姿”を視覚認識させる。これにより、例えば生物や鉱物のサンプルを取得することなく、その映像から種別や分布等の詳細な状況が提供され、新種生物の発見や海底資源調査の進展をはじめとする、深海研究各分野の進捗に大きく貢献することが期待される。
 この映像技術を発展させていくためには、映像の品質を劣化させることなく海中を長距離かつ高速に伝送する光伝送技術、深海システムに大容量情報を効率的に展開するためのデータ圧縮技術および収録技術、加えてより高品質な深海映像を取得するための各光学技術(カメラ光学系・海中光学伝搬)の最適化について、さらに厳密に取り組んでいくことが必須である。今後は、これら各要素技術に加え、深海利用を考慮した撮像素子そのものの高度化(高性能化・高感度化)を図るとともに、深海環境における超高精細映像の取得から管理までを船上(現場)にて一元的に実施する統合的なシステムの確立を目指す。
(詳細は、http://www.jamstec.go.jp)