October, 1, 2018, Tel Aviv--市販のハードウエアと、PySightとして知られるオープンソースソフトウエアの組合せが開発され、これにより脳や他の組織の迅速な2Dおよび3Dイメージングが改善される。今日利用できる最速の3Dイメージングソリューションのシームレスな統合を可能にすることで、顕微鏡の進歩は脳のダイナミクス理解向上、脳卒中、テンカン、痴呆症などの健康問題で新たな処置発見に役立つ。
Opticaに発表された論文でイスラエル、テルアビブ大学(Tel Aviv University)の研究チームは、PySightについて説明している。PySightは、レーザ走査顕微鏡のフォトンカウンティング・アドオンとして役立つ。ソフトウエアとハードウエアのこの新しい組合せを適合することで、生きた脳の神経活動の2Dおよび3Dイメージング品質を改善した。
組織深部までイメージングできるので、多光子顕微鏡として知られるレーザベースの技術は、ニューロン、血管、他の細胞の素早い活動パタンの高解像度研究によく使われている。この顕微鏡法は、レーザパルスを使って蛍光プローブを励起し、フォトン放出を引き出す。フォトン(光子)は、検出され、2Dおよび3D画像形成に利用される。
多光子顕微鏡で神経活動全体を捉えるには、より高速のイメージングが必要になる。結果的に、画像形成に使えるフォトンの数がますます少なくなり、露光時間を短くして写真撮影するようになる。課題は、このようなぼやけた条件で、意味のある画像の撮り方である。
「このハードルを超えるために、顕微鏡使用者は、フォトンカウンティングというディテクタ読み出し法を使った。しかし、その実装は幅広いエレクトロニクス知見と特注コンポーネントを必要とするので、フォトンカウンティングはこれまで広く用いられてこなかった。加えて、利用可能な市販のソリューションは、3Dイメージングに必要とされるような高速イメージングを行うには不向きであった」とテルアビブ大学の研究チームリーダー、Pablo Blinderは説明している。
神経イメージング研究の進歩だけでなく、PySightの改善された感度は、多光子顕微鏡を用いて手術中に人間の患者の悪い細胞の迅速な特定を容易にする。PySightの3Dシーン再構築への新たなアプローチは、光検出や測距、つまりLiDARの性能も改善する。これは、LiDARを使って周辺環境のマップを形成する自律運転車のコスト低減に役立つ。
イメージングしている量や面積ではなく、検出されたフォトンの数で拡大するデータストリームを生成しながら、PySightで高い空間時間分解能が得られる。「全てのピクセル輝度、つまり3Dボクセルを、たとえ特定の場所に全くフォトンが検出されない、ゼロでも、従来のデータ取得ハードウエアは蓄積する。しかし、PySightは、個々のフォトンの正確な検出時間のみを蓄積するので、研究者は、空間・時間的分解能で妥協することなく、長いセッションで膨大な量を迅速にイメージングできる」とBlinderは説明している。
多次元画像を再構築するために、ディテクタに各フォトンが何時入ったかを知っているだけでは十分でない。それが脳のどこに由来するかも知る必要がある。「システムを簡素化し、別の走査装置との同期を避けたいなら、これは非常にやりにくい」「これを成し遂げるために、われわれのソフトウエアは走査装置からのタイミング信号に沿ってフォトン到着時間のリストを読み取り、サンプル内の各フォトンの起源を判断し、3次元いやそれ以上に広がることができる3Dムービーを生成する」と同氏は説明している。
フォトン到着時間は、マルチイベント時間デジタイザ、マルチスケーラとして知られるデバイスで生成される。これは、100psの精度で時間を記録する。もう1つの重要コンポーネントは、市販の共鳴アクシャル走査レンズ。これは、1秒に数10万回、焦点面を変える。このレンズを使って、脳の異なる深さでレーザビームを高速走査し、チームは連続3D画像を再構築することができた。
「われわれが使用したマルチスケーラは、出力の解釈が容易ではないので、神経画像処理には適用しなかった。また、バイオイメージング用の共鳴アクシャルスキャニングレンズの利用は、取得データから3Dレンダリング生成に特注ハードウエアが必要だった。PySightは、両コンポーネントからの出力を3Dムービーに難なく変換した。ソフトウエアが無料で一般に利用できるので、これまで、3Dイメージングにつきものの高い技術バリアに阻止されていたラボに役立つことになる」とBlinderは説明している。PySightは、一般的なアプリケーションインタフェースであるので、適切なハードウエア機器からの同じようなフォトン検出時間リストの解釈にも使用可能である。
PySightが、真にプラグ&プレイであるかどうかをテストするために、研究チームは、テルアビブ大学の別のイメージングラボに出向いた。そこでは、簡単にデバイスにプラグインして、PySightソフトウエアをダウンロードした。