September, 20, 2018, 札幌--北海道大学大学院先端生命科学研究院・国際連携研究教育局の塚本卓助教らの研究グループは、海洋藻類Proteomonasプロテオモナスsulcataスルカタ由来の光受容体タンパク質であるアニオンチャネルロドプシン(PsuACR1)が、自らの輸送基質である塩化物イオン(Cl-)の濃度に応じて開口状態を変化させることを解明した。
PsuACR1は、類縁のACRと比較してチャネル閉口がすばやいことが特徴。研究では、PsuACR1の輸送基質である塩化物イオン(Cl-)に対する応答性に着目した。その結果、Cl-濃度が高いとき、PsuACR1のチャネル閉口過程が阻害され、チャネル開口状態が10倍長く続くことを見出した。これは、Cl-濃度が高いとき、PsuACR1のすばやいチャネル閉口過程が自らの輸送基質によって阻害され、反対にCl-を透過させるチャネル開口状態が長期化することを意味している。
PsuACR1のチャネル閉口がすばやい性質は、神経細胞活動に直結する細胞膜内外の電位差の微調整に役立つため、細胞応答の光操作技術(オプトジェネティクス)にとって極めて有用。この研究で得られた知見が、幅広いCl-濃度で有効に働く光操作ツール分子の開発に活用されることが期待される。
研究成果は、Scientific Reports誌に掲載された。
(詳細は、https://www.hokudai.ac.jp)