September, 4, 2018, Livermore--グラフェンエアロゲルは空気より軽いがスチールよりも強い、またすでに航空宇宙、エネルギー蓄積、絶縁での有用性が実証されている。新材料の3Dプリンティングにおける最近の進歩はあったが、複雑な構造の実現は難しく、独自材料の全潜在能力を阻んでいる。
今日まで、グラフェンエアロゲルの3Dプリンティングは、ダイレクトインクあるい他の押出ベースの方法で行われてきた。この場合、グラフェン層はノズルを通して押し出される、チューブの歯磨きペーストのようなものだ。このプロセスは、超低密度材料から単純形状にプリントされる部品設計を制約している。この制約を克服するために、2年前からローレンスリバモア国立研究所(LLNL)とバージニア工科大学の研究グループは、軽量な、プロジェクションマイクロステレオリソグラフィとして知られる方法を使ってグラフェンエアロゲルの3Dプリンティングにとり組んできた。
Materials Horizonsオンライン発表の論文で、研究チームは、画期的なマイクロアーキテクチャ3Dグラフェンエアロゲル構造の作製を報告した。これは、他の3Dプリンティング法で以前に作られたどんなものよりも高分解能で複雑である。研究者は、フローバッテリ用電極最適化に取り組むとともに、代替プリンティング法追究を始めた。LLNL主席研究者、Marcus Worsleyによると、これはプロジェクトに必要な複雑さのレベルに到達するためであり、チームが異なるアプローチを必要としていることは明らかであった。
「分解能と複雑さに関して、われわれはコンピュータベースのシミュレーションと単純な格子ではないデザインに向かい始めた。格子は、もっと複雑になる傾向があり、押出法では再現できないような細部となる。コンピュータが生成する非直観的なデザインを電極に持たせたいなら、それができるものが何か必要であり、ステレオリソグラフィはそのソリューションだった」とLLNL主席研究者Marcus Worsleyは話している。
プロジェクション・マイクロステレオリソグラフィでは、UV光を使って部分層の画像を感光性液状樹脂に投影する。これが硬化され、硬くなって画像の形状となる。この方法を使い、研究チームは押出ベースの方法でプリントされる3Dグラフェンアエロゲルの解像度を約100µmから約10µmにすることができた。スーパーキャパシタやバッテリの性能は、拡散距離によって制約されることがあるのでグラフェンアエロゲルから複雑な構造をプリントする能力は、バッテリ技術にとって朗報であるばかりか、コンピュータ駆動最適化設計の恩恵を受ける多くのアプリケーションに扉を開く、例えば航空宇宙、化学反応炉、脱塩プラントや化学処理などである。
プロジェクトの大きな課題の1つは、マイクロステレオリソグラフィ工程適合グラフェンアエロゲル樹脂の発見であった。
Ryan Hensleighによると、適切な組合せを見いだすまでに多くの化学混合物に2年以上とり組んだ。「これはUV硬化グラフェンアエロゲル初のデモンストレーションであるので、最終的な定式化を見いだすことが最も難しかった。グラフェン酸化物のフレークサイズ(約10µm)の解像度達成は素晴らしいものであった。この技術を使ってバッテリやスーパーキャパシタを研究することは、心が躍る。マイクロスケールのグラフェンで任意の構造を達成できた従来技術は存在しないので、エネルギー蓄積性能への3D構造の影響を研究することは素晴らしいことである」とコメントしている。
(詳細は、https://www.llnl.gov)