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超高解像度顕微鏡、致死性Nipahウイルスの神秘を解明

August, 24, 2018--致死性のニパ(nipah)ウイルスなどは、以前考えられていたよりも場当たり的に結集することをブリティッシュコロンビア大学(UBC)研究チームが確認した。この発見により、研究者は、より効果的なワクチンを開発し、これらのウイルスと闘う多くのアプローチを排除することができる。
 UBC化学教授、Keng Chouのチームと,コーネル大学のチームは、UBCが特許を持つ超高解像度顕微鏡を使い、ウイルスが、実際に科学者が仮定したように結集するかどうかを観察した。
「われわれは数100の画像を見た。現在のモデルを支持するものは何も見つからなかった。これら致死性ウイルスの中には、複製プロセスが実際に考えられているほど複雑でないものがある」とChouは言う。
 nipahは、「エンベロープを持つ」ウイルスの一例である。それは、インフルエンザ、恐水病、はしか、AIDSを起こすウイルスに似ており、感染したホスト細胞から外包材を得る。nipahは、人にも動物にも重症疾患や致命的な脳腫脹を起こす。東南アジアでの年間発生で、感染者の40~90%が死亡している。2018年、インドでnipah感染者19人のうち、生き残ったのはわずか2人だった。
 nipahウイルスは、3つの構造タンパク質を持つ、構造を作るマトリクスタンパク質と2つのエンベロープタンパク質。これはウイルスをホスト細胞に付着させ融合させる。研究者の考えでは、マトリクスタンパク質が、エンベロープタンパク質を「リクルート」し、一種の信号を送出して、それらが細胞膜に結合し機能ウイルスになるように指示する。研究チームは、そのプロセスを破壊する方法を見いだすことを目的に、この信号を特定しようとした。
 しかし、研究チームは、エンベロープタンパク質が細胞膜上でランダムに散乱する傾向があることを見いだした。これらのタンパク質は、タンパク質に入り込んだときに全くの偶然に、取り出される。これは、以前に考えられていたよりも素早くウイルス粒子を生成するが、エンベロープタンパク質を全く獲得しないマトリクスタンパク質が多い。また、これは機能ウイルスにもならない。
 この観察は、ワクチン接種に密接に関わっており、nipahだけでなく、潜在的にインフルエンザ,HIVや他のエンベロープを持つウイルスに対する接種に関係する。ワクチンは、少量の改造ウイルス、つまりウイルスタンパクに人を触れさせることによって機能する。つまり、身体の自然免疫能を始動させるのである。現在、人用に認可されているnipahワクチンはない。開発中に可能な戦略の一つは、ウイルス様粒子を利用することである。これはウイルスを真似たタンパク質ベースの構造であり、免疫反応を刺激する。
「ワクチンが大きな割合で,マトリクスタンパク質を持ち、エンベロープタンパク質を持たないウイルス様粒子を含んでいると、それは強力な免疫反応を引き起こさない。このことは、ウイルスが細胞に入るのを助けるために不可欠である。われわれが混合物からそのような非機能的粒子を除外する方法を見つければ、ワクチンは、より効果的になる」と論文の筆頭著者、Qian Liuは説明している。
(詳細は、https://www.ubc.ca/)