August, 20, 2018, Los Angels--UCLAの電気・コンピュータ工学チームは、人間の脳の働き方をモデルにした物理的な人工ニューラルネットワークを作製した。これは、実際の光の速度で膨大なデータを解析し、対象を判断する。デバイスは, UCLA Samueli School of Engineeringで3Dプリンターを使い作製された。
今日、日常生活では多くのデバイスがコンピュータカメラを使って対象物を判断している。現金自動預払機は、小切手を預ける手書きの金額を読み取る、あるいはインターネット検索エンジンは写真を素早くデータベースの他の類似画像と照合できる。しかしそうしたシステムは、対象物イメージング装置に頼っている。まずそれをカメラか光学センサで「見て」、データで調べたものを処理する。最終的にコンピュータプログラムを使ってそれが何であるかを判断する。
UCLAで開発されたデバイスは先んじる。「回折深層ニューラルネットワーク(神経網)」と言い、それは対象物自体からの跳びはねる光を使い、コンピュータが単に対象物を「見る」だけの短い時間で、その対象物を判断する。UCLAデバイスは、対象物の画像を処理し、その光学センサが取り上げた後に対象物が何であるかを決定する先進的プログラムを必要としない。また、それは光の回折を使うだけなのでデバイスを走らせるためにエネルギーを消費しない。
そのデバイスをベースにした新技術は、並べ替えや対象物の特定を必要とするデータ集約的タスクの高速化に使える。
その発明をベースにした技術は微視的イメージング、例えば病気の兆候を調べるために数100万の細胞を検索する医療にも使える。
この研究の首席研究者、電気・コンピュータ工学、UCLA Cancellorの教授、Aydogan Ozcanは、「この光学的人工ニューラルネットワークデバイスは、脳の情報処理方法を直観的にモデルにしている。それを拡張して新しいカメラデザインや独自の光コンポーネントを実現することが可能だ。そのようなコンポーネントは、医療技術、ロボット、セキュリティ、画像、ビデオデータが重要な、どんなアプリケーションでもパッシブに動作する」と説明している。
人工神経ネットワークを造るプロセスは、コンピュータシミュレートした設計で始まる。次に、研究者は3Dプリンターを使って、非常に薄い8㎝平方のポリマウエハを作製した。各ウエハは、凸凹面になっており、対象物から来る光を様々な方向に回折するのに役立つ。その層は眼には不透明に見えるが、実験で使われた光のサブミリ波テラヘルツ周波数は、それを透過する。各層は数万の人工ニューロンで構成されている、この場合、光を透過させる微小ピクセルである。
それとともに、一連のピクセル層が、「光ネットワーク」として機能し、対象物からの入力光がどのように透過するかを方向付ける。そのネットワークが、対象物を特定する。対象物からの入力光がほとんど、そのタイプの対象物に割り当てられた単一ピクセルの方へ回折されるからである。
研究チームは次に、コンピュータを使って目の前で対象物を判断できるようにそのネットワークを訓練した。これは、その対象物からの光がデバイスを透過する際に、個々の対象物が作る回折光のパタンを学ぶことによるものである。その「トレーニング」は、深層学習という人工知能(AI)の一分野を使用した。ここでは、機械が繰り返し、またパタンが現れる時間経過により「学習する」。
主任研究者Aydogan Ozcanは、「これは直感的には非常に複雑なガラスとミラーの迷路のようなものである。光が回折ネットワークに入り、迷路を跳ね回り、最終的には外に出る。システムは、ほとんどの光が最終的に外に出るところで対象物が何であるかを判定する」と説明している。
実験では、研究チームは、デバイが手書きの数字や衣類を正確に判断できることを実証した。そのためにテラヘルツ光源の前に画像を置き、デバイスに、光回折を通して、その画像を「見」させた。
また、そのデバイスをレンズとして機能するように訓練した。物理学ではなく、人工知能を使っている。
コンポーネントは、3Dプリンターで造ることができるので、人工のニューラルネットワークは大型の付加的層によって作製可能であり、結果的に人工ニューロンの数千万のデバイスになる。そのように大きなデバイスは、同じ時間にもっと多くの、もっと複雑な対象物を特定することができる。コンポーネントは安価に造れるので、研究チームの造ったデバイスは、50ドル以下で再生産可能である。
研究はテラヘルツ周波数を使ったが、Ozcanによると、可視光、赤外、他の光周波数を使うニューラルネットワークも可能である。ネットワークはリソグラフィ、他のプリンティング技術を使っても実現可能である。