August, 13, 2018, Samara--Applied Earth Observations and Remote Sensing (IEEE)のIEEE選択トピックスとして掲載された記事で、サマラ国立研究大学の研究グループは、高解像度画像を取得するための超軽量回折光学素子の開発と利用について説明している。
この論文では、256層回折ハーモニックレンズの作製技術、取得した画像の再構成アルゴリズムについて報告している。この光学素子は、サマラ大学のスーパーコンピュータ&総合情報科学学部の研究グループが開発したもので、重量わずか5グラムであり、焦点距離300㎜、重量500グラムの望遠レンズで使用されている複雑で大きなレンズとミラーシステムを置き換える。「光学部品の重量とサイズの削減という不断の闘いの問題を解決するには、そのように大きなシステムは適さない。まず、小型航空機、たとえばUAV、大気プローブやナノサテライトに設置されるコンパクトな地球遠隔センシングシステムに関係する。わずか数グラムの超軽量回折光学システムは、新たな可能性を開く」と著者の一人、Artem Nikonorov教授は言う。
現代の重い写真レンズや望遠レンズは、光学収差によって生ずる画像歪補正のために多数(12以上)の光学素子を必要とする。超軽量ハーモニックレンズを使う場合、デジタル処理でそのような歪を補正するように研究グループは提案している。この目的のために研究グループが開発したコンピュータ再構成には、 重畳型ニューラルネットワーク(CNN)を使った画像の色補正、色ぼけの除去が含まれている。テスト結果は、この方法で復元された画像品質は、コンシューマカメラやモバイル写真の画像品質と同等であることを示している。
CNNに基づいた一つの画像再構成時間は、約1秒である。
このアプローチをベースにして、研究グループは、ナノサテライトから地球表面観察で解像度18mが可能な技術をすでに提案した。市販の光学系では、解像度は40mである。
さらに、超軽量ハーモニックレンズとCNNベースの画像再構成技術を利用することでPSNR(ピーク信号対雑音比)は、実際の画像で26dBに増加する。
今後も継続して、研究グループは画像の強い収差克服に取り組む。この問題を解決するために、超軽量レンズ製造技術、画像再構成法を改善し、ニューラルネットワーク再構成パフォーマンスを改善していく。
(詳細は、www.ssau.ru)