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レーザ共振器を注入できる光カプセル

August, 3, 2018, Seoul--KAIST研究グループは、マイクロ流体技術を使って、注入可能レーザ共振器用フォトニックカプセルを紹介した。カプセルの直径は人の髪の毛ほどであり、気体や液体媒体中で安定であるので、どんな目標体積にも注入できる。
 Shin-Hyun Kim教授は、Morpho butterflyなどの自然からヒントを得たフォトニック材料研究に取り組んでおり、今回は、甲虫の特性を利用した。
 Chrysina gloriosa(甲虫)は、左円偏向の光を当てると葉と同じ緑色を示すが、右円偏向の光では無色である。この固有の光学特性は、甲虫が相互に意思疎通する際に役立ち、捕食者から身を守ることができる。
 甲虫のこの興味深い光学特性の背後にある原理は、甲虫の殻に存在する左利き螺旋ナノ構造にある。螺旋構造は、光干渉による螺旋ピッチで選択された波長で、同じ螺旋利き手の円偏向の光を反射する。
 そのような螺旋ナノ構造は、液晶(LCs)を使って人工的に造れる。螺旋配列のLCsは、コレステリック液晶(CLC)と言われている。CLCは、甲虫と同じ方法で、光偏向依存反射を示し、さまざまなフォトニックアプリケーションで用いられている。
 特に、CLCは、従来のレーザシステムと違い、ミラーレスレーザ共振器として機能するフィルム形式に成形されている。しかし、フィルムタイプのCLCはサイズが大きく、一方向の放出を示し、微小環境ではCLC共振器利用の制約となる。
 この限界を克服するために、研究チームは、マイクロ流体技術を使い、CLCをデュアルシェルでエンカプセルした。内側シェルは、LC分子の配列を促進する水層であり、外側シェルは弾性ポリマ層で、カプセルの安定性を確保し、可逆的な機械的変形を可能にしている。さらに、レーザ強度とレーザ発振方向は、カプセルを変形することでさらに制御できる、一方その波長は可変のままである。この新しいタイプのCLCレーザ共振器は、様々な生体医用アプリケーションにおけるレーザ処置に有望である。
 「このレーザ共振器で用いられる螺旋ナノ構造は、chrysina gloriosaのシェルの構造に似ている。人間は、自然から学び、前例のないものを造るために材料を操作する」とKim氏はコメントしている
研究成果は、Science Advancesに発表された。