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3Dプリンティング技術による人工歯(入れ歯)の実用化

July, 20, 2018, つくば--産業技術総合研究所(産総研)健康工学研究部門生体材料研究グループ 岡崎 義光 上級主任研究員は、株式会社アイディエス(アイディエス)と共同で、3Dプリンティング用コバルトクロム合金粉末の薬事承認を取得し、患者に最適な人工歯を用いた歯科治療を可能にした。
 医療機器開発ガイドラインなどを参考に、現在の歯科治療に用いられ生体との適合性に優れたコバルトクロム合金の粉末を用い、製造条件の検討、各種性能試験を行った。歯科治療に用いるため必要となる医療機器としての承認は、アイディエスが取得した。歯科医院で口腔内のデータを取得し、歯科医師の指示に基づき、歯科技工処理を行い、患者に最適な形状の人工歯を設計する。設計データに基づき、医療機器として厚生労働省に登録された3Dプリンティング(三次元積層造形)装置を行いて積層造形する。造形材の表面仕上げ後、臨床使用する。破損やアレルギーに対するリスクが少なく、歯科鋳造では困難で長時間を要する立体構造の人工歯(補綴修復物)が短時間で造形できる。これらの技術により、歯科鋳造や切削加工での作製に比べて、製造時間の短縮、信頼性が向上すると共に、口腔内データがデジタル化され、製品設計が迅速化できる。また、必要に応じて同じ製品をすぐに作製できる利点もある。
 日本では整形インプラントなどの治療機器分野の輸入依存度が90%と高く、産総研では、輸入依存度の低減、異業種分野から医療機器分野への新規参入などを目指して、医療機器のレギュラトリーサイエンスの構築に向けた研究に取り組んできた。今回、経済産業省のウェブサイトで公開されている歯科補綴装置の開発ガイドラインを参考に、歯科材料製造販売業者であるアイディエスと共同で、三次元積層造形技術を活用した「歯科デジタルものづくり」の早期実現に向けた3Dプリンティング技術による人工歯の実用化に取り組んだ。
 今後は、積層造形技術の保険適用を目指す。また、新たな材料であるコバルトクロム(Co-28%Cr-6%Mo)合金の国産粉末での認可を目指す。さらに、敏感なアレルギー患者への配慮のため、チタン材料での人工歯の開発を目指す。

(詳細は、www.aist.go.jp)