June, 13, 2018, 熊本--崇城大学工学部ナノサイエンス学科の黒岩敬太教授と薬学部薬学科の池田剛教授らの研究グループは、本来廃棄されるトマトの葉や茎に豊富に含まれる生理活性成分を活用することによって、新しい発光ナノ材料が開発できることを論文発表した。
農作物で活用されない部分を最先端科学でナノテクノロジー材料に変えるこの研究は、多くの地域で一筋の光となると考えられる。なお、この研究は一般財団法人キヤノン財団「産業基盤の創出」の助成を受けて実施されている。
研究では、熊本の特産物であるトマトの葉や茎から抽出されるステロイドアルカロイド配糖体(トマチン、デヒドロトマチンなど)を、ナノ材料へ変貌させることに成功した。具体的には、「農作物から抽出された物質の探索」と「分子組織性発光材料の開発」を融合し、農工融合型ナノ材料を創成した。特に、この農工融合材料を用いて、ナノチューブやナノシートを形成し、ナノ組織体ならではの青色発光材料にすることができた。もともと、トマチンなどのステロイドアルカロイド配糖体は、LDLコレステロール低下効果などの特異的な生理活性を有しており、生物活性を有する生体標識材料としての利用が考えられる。
研究チームは、引き続き他の農作物での生理活性成分をナノ材料に変える研究を多方面で展開する。さらに、ナノサイズの病理診断試薬の開発、ナノサイズの次世代半導体や分子機械を開発するための新しい設計指針の提供を目指していく。
(詳細は、http://www.sojo-u.ac.jp/top.html)