June, 1, 2018, Ann Arbor--新しい研究によると、金属ナノ構造と結合した有機色素材料が、短く急激に現れるレーザパルスの超高速レーザ発振ダイナミクスを可能にする。
アールト大学(Aalto University)のポスドク研究者、Konstantinos Daskalakisは、「どれくらい速くレーザをON/OFFできるかを知りたかった。素早いレーザパルス発振は、情報処理に有用であり、オプトエレクトロニクスデバイスの中には応答性を改善できるものがある」と説明している。
実験で使用したサンプルは、ガラスに置き、有機発光材料に浸した金ナノ粒子でできいる。ナノ粒子は、相互に密接するように方形アレイに整列されている。粒子の周りに集中する電界は、有機色素の分子ダイナミクスを高速化する高電界強度になる。
電磁場と導電性粒子が相互作用し、有機色素が、超高速の指向性レーザパルスを生成する。
この種のレーザの生成は、オールオプティカルスイッチングやセンシングにとって有望であり、光通信速度、カメラやトランジスタなど、情報処理に光を使うデバイスの性能を改善する見込がある。
微小ナノレーザは、普通は、指向性ビームを生成しないことは明らかである。ナノ粒子をアレイに整列することで指向性が改善される。そのようなレーザは、世界のいくつかの研究機関ですでに実現されているが、超高速パルスの可能性は実証されておらず、アールト大学で行われた実験が世界初である。
パルスの特性を計測することは極めて難しい、スピードが非常に速いためである。
「ここでの成果は、レーザパルスが正しく超高速であることをわれわれが実験的に実証することに成功した点である。レーザ発振は、光と金属の電子動作のハイブリッド、光学モード起こる。これらのモードは、表面格子共鳴と言われている」とPäivi Törmä教授は説明している。
レーザ光は、まず金属ナノ粒子によってサブ波長サイズに押し込められ、次に表面格子共鳴モードからピコ秒速度、集中レーザパルスとして逃れる。
「この種の金属ナノ粒子アレイレーザは、高い変調速度でパルスレーザ照射生成に優れている」と博士課程学生、Aaro Väkeväinenは話している。
ナノ粒子アレイから生成されたパルスは非常に速いので、そのダイナミクスを捉える従来型電子カメラは存在しない。研究チームは、もう1つのレーザを「カメラ」として使い、微小レーザの超高速画像を撮った。その方法は、ポンププローブ分光法と呼ばれている。
(詳細は、www.aalto.fi)