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高速光通信や信号処理に道を開くチューナブルTHGグラフェン

May, 28, 2018, Cambridge--グラフェンフラッグシップ(Graphene Flagship)の研究チームは,ゲートチューナブル第3高調波発生(THG)をグラフェンで初めて示した。この研究は、Graphene Flagshipのパートナー、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)をリーダーとして、Politecnico di MilanoおよびジュネーブIIT-Istituto Italiano di Tecnologiaと共同で行われ、Nature Nanotechnologyに成果が発表された。この研究により、光システムのデータ転送向けオンチップブロードバンド光スイッチが可能になる。
 光高調波発生は、高強度の光が非線形材料と相互作用する時に新たな周波数を生成することである。第3高調波発生(THG)は、入力光エネルギーの3倍の光を生成する。THGは、レーザからの高強度光と物質との非線形相互作用を利用する。非線形光学効果は様々なアプリケーションで利用されている、例えばレーザ技術、材料処理や通信。原理的に全ての物質はTHGにより新しい周波数を生成するが、このプロセスの効果は一般に小さく、外的に制御できない。グラフェンには、強力な光物質相互作用と強い3次非線形応答があるので、THGの潜在力は大きい。
 ケンブリッジ、ミラノ、ジュネーブからのグラフェン協力者はグラフェンでゲートチューナブルTHGを初めて実験的に示した。材料の非線形光学応答を電気的に制御することにより、ゲートチューナブルスイッチや周波数変換などのアプリケーションが可能になる。研究チームは、グラフェンの強力なTHGが外部電界によって制御でき、超広帯域で効率が増すことも示した。
 この種のTHG光スイッチは分光学でより多くの「色」を利用可能にし、これにより研究者は物質の新しい理解が可能になる。グラフェンTHG光スイッチは、以前には利用されていなかった光ケーブルでデータを伝送し、光周波数も利用できるようにするので、伝送可能なデータ量が増え、したがってデータ速度も増加する。
「われわれの研究は、グラフェンにおけるTHG効率が、印可電界をチューニングすることで10倍以上に向上することを示している。第3高調波強化の電気的制御は超広帯域にわたり達成可能なので、電気チューナブル広帯域周波数コンバータに道を開く。これらのアプリケーションは、光通信や信号処理である」と論文の主筆、UKケンブリッジ大学ケンブリッジグラフェンセンタのGiancarlo Soaviは説明している。
 現在、分光学の光スイッチに非線形オプティクスを利用する商用デバイスは存在する。しかし、THGにグラフェンを利用することにより、超広帯域で動作するデバイスへの組み込みが可能になる。
 研究チームは、光ファイバや導波路への集積デバイス実現を狙っている。
(詳細は、https://graphene-flagship.eu/)