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シリコンベース多接合太陽電池、太陽光の1/3を電気に変換

April, 9, 2018, Freiburg--フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所ISE (Fraunhofer Institute for Solar Energy Systems ISE)とEV Group(EVG)の研究チームは、新しいシリコンベース多接合太陽電池を開発した。これは、入射太陽光の正確に1/3を有用な電気に変換できる。研究成果は、Nature Energyに発表されている。
 シリコン太陽電池は、現在世界の太陽光発電市場で優位を占めており、シェアは90%である。全く新しい技術開発により、研究と産業は半導体シリコンの理論的効率限界に近づきつつある。同時に、新しい世代のさらに効率的な太陽電池開発の新たな道が構築されようとしている。
 フラウンホーファーの研究チームは、シリコンベース多接合太陽電池の高い変換効率を達成した。これはIII-V化合物半導体極薄0.002㎜半導体層をシリコン太陽電池にボンディングしたものである。可視太陽光は、GaInp最上セルで吸収され、近赤外光はGaAsで、より長い波長はシリコンサブセルで吸収される。このような方法でシリコン太陽電池の効率は、大幅に向上させることができる。
 すでに2016年11月に研究チームは業界パートナーEVGとともに、30.2%の効率を実証、2017年3月には31.3%に改善した。今回再びシリコンの光吸収と電荷分離の大幅改善に成功し、新たに記録的な効率33.3%を達成した。
 この成果のために研究チームは、マイクロエレクトロニクス業界ではよく知られたプロセス、「ダイレクトウエファボンディング」を利用してIII-V半導体層、わずか1.9µm厚をSiに移動した。表面は、EVG580 ComBondイオンビーム高真空チャンバで脱酸素化され、続いて圧着された。III-Vサブセル形状面の原子がシリコン原子と結合し、モノリシックデバイスを形成する。内部構造の複雑さは、外観からはわからない。セルは、従来のシリコン太陽電池と同様に小さな前面および裏面コンタクトを持っており、したがって同じようにPVモジュールに統合可能である。
 III-V/Si 多接合太陽電池は、交互にスタックした一連のサブセルで構成されている。いわゆる「トネルダイオード」は、GaInP、GaNおよびSiでできた3つのサブセルを内的に接合している。これにより太陽スペクトルの吸収範囲が広がる。GaInPトップセルは、300~670nmの放射を吸収する。真ん中のGaNサブセルは、500~890nm、ボトムのSiサブセルは650~1180nmをそれぞれ吸収する。・III-V層は、まずGaN基板にエピタキシャル成長し、つぎにSi太陽電池構造に結合される。ここで、Siの前後面にトネル酸化物不活性化コンタクト(TOPCon)が適用される。続いて、GaAs基板を除去し、光の経路長を長くするためにナノ構造裏面コンタクトを導入する。フロント際でコンタクトグリッドと反射防止コーティングも適用される。
 III-V/Si多接合太陽電池の工業製造には、III-VエピタキシーとSiとの接続技術のコストを下げなければならない。この領域の克服にはまだ大きな課題があるが、フラウンホーファーISEの研究チームは、今後の研究を通じて解決する考えである。
 究極の目標は、将来30%を超える効率の高効率太陽PVモジュールの作製である。
(詳細は、www.ise.fraunhofer.de)