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シリコンチップ上のグラフェン高速発光素子を開発

April, 2, 2018, 東京--慶應義塾大学 理工学部物理情報工学科の牧英之准教授らは、シリコンチップ上で動作する高速なグラフェン発光素子を開発した。その発光素子を使った光通信を実演するとともに、光のオン/オフを高速に変化(高速変調)できるメカニズムも新たに発見した。
 現在光源として主に用いられている化合物半導体は、シリコンチップ上で高密度に集積することが困難であり、光集積回路の実現を阻む要因の1つとなっている。
 研究グループは、新たな材料系としてナノメートルサイズで制御できる炭素材料であるグラフェンを用いることにより、シリコン上に直接形成可能で超小型の新しい発光素子の開発に成功した。この発光素子は、黒体放射であるにもかかわらず、応答時間が100ps(変調速度で10GHz相当)という超高速で変調可能であることを実験的に明らかにするとともに、この高速変調性が、量子的な熱輸送により実現していることも発見した。さらに、この発光素子を用いて、実際に光通信を実演するとともに、化学気相成長(CVD)によるアレイ化や大気中での動作が可能であることも示した。
 この発光素子は、シリコン上に集積可能な、高速で超小型の光源として、光インタコネクトやシリコンフォトニクスといった、高集積光技術に応用できると期待される。
 研究は、九州大学 グローバルイノベーションセンターの吾郷浩樹教授と共同で行った。
 研究成果は、Nature Communicationsに掲載された。
(詳細は、www.jst.go.jp)