March, 28, 2018, St. Petersburg--国際物理学チームは、新しいタイプの湾曲光ビーム、「フォトニックフック」を発見した。フォトニックフックは、他に類例がなく、その曲率半径は波長の1/2以下である。電磁波のそのような小さな曲率半径が記録されたのは初めてのことである。
フォトニックフックを使って、光学スキャニングシステムの分解能を向上させることができる。またナノ粒子、個々の細胞、ウイルス、あるいはバクテリアの動きを制御することもできる。この研究成果は、Optics Letters and Scientific Reportsに発表された。
以前から物理学者は、電磁照射は直線に沿って伝搬すると主張していた。ところが、2007年、湾曲電磁波の存在が試験的に確認された。最近では、ITMO 大学(サンクトペテルブルク情報技術・機械・光学大学)の研究者が、Tomsk State University、セントラルフロリダ大学、University of Ben-Gurionおよび University of Bangorの研究者と共同で新しいタイプの湾曲光ビーム、フォトニックフックを発見した。
ITMO大学ナノオプトメカニクス国際研究所長、Alexander Shalinは、「フォトニックフックは、平面光波を非対称形状誘電粒子に向けると形成される。われわれは、いわゆる直方体(cuboid)粒子を研究した。それは、片側が、プリズムキューブの外観となっており、この形状のために、波動の完全な位相の時間は、粒子では不規則に変化する。その結果、放出光ビームが曲がる」と話している。
研究チームは、フォトニックフックの曲率半径が、その波長よりもはるかに小さいことを示した。湾曲は、波長、入射偏光、放出粒子の幾何学的パラメータを変えることによっても調整できる。この特性を使って、光信号の方向を変え、光学システムの回折限界を克服し、ナノスケールで個別粒子を動かすことができる。
「このアイデアを最初に提案したのは、トムスク大学(Tomsk State University)の研究者だった。われわれは必要な計算を行い、この現象を記述するとすぐに、フォトンフックがオプトメカニクスで利用できるかどうかを調べることにした。フォトニックフックを使って、透明な障害の周囲の湾曲経路に沿って粒子を動かすマニピュレータを作製できることがわかった。これは、放射圧と光学的勾配力により可能である。粒子がビームの最高強度領域に当たると、勾配力はビーム内に粒子をとどめ、放射圧はエネルギーフロー伝搬の湾曲経路に沿って粒子を押し出す」とセントラルフロリダ大学の研究者、Sergey Sukhovは説明している。
粒子の運動に対するそのような制御法は、光流体学で有望である。この技術は、光ビームを使って溶解ナノ粒子、マイクロ粒子のマイクロストリームを方向付ける。これにより研究者は、チップ上にマイクロリアクタを形成し、たとえばバクテリア、ウイルス、個々の細胞を研究することができる。
(詳細は、www.ifmo.ru)